エアコン

ワバチの巣の中には多くの巣板があり、その中央部では子育てが行われています。

 

育児エリア

【 育児エリア 】: 巣板の中央部に位置し、周りから守られている。

 

巣板中央部は、育児エリアと呼ばれ 、

ここでは、卵・幼虫・サナギが集中していて、いつもハチ達が集まり守られています。

 

巣房2

【 巣房の中 】:巣房1つに対し、1つの卵を産みつけ育てます。 (クリックで拡大)

 

ミツバチの幼虫は、巣房という云わば「個室」の中で温々と育てられます。

上の写真では、

 

・様々な大きさの 幼虫

・蓋掛けされた サナギ

 

がそれぞれ育てられていますが、お分かり頂けるでしょうか。

 

巣房1
【 巣房の中 】:巣房には常に食べ物が補充されます。

 

個室(巣房)では、孵化した幼虫に対し常に食べ物が置かれていて、その日齢に合わせ

 

ワーカーゼリー花粉ハチミツ がそれぞれ与えられます。

ワーカールゼリーは、羽化して直ぐの若いハチ達が、花粉を食べて作り出しています。

花粉はハチミツのように、多く貯蔵することはせず、育児が盛んな時にだけ、

頻繁に運び込みますので、花粉団子を付けたハチが多く見られる時は、

巣内を見なくても、産卵・育児が活発だということが判るのです。

 

また、室温も常に 34~35℃ と育児に最適な温度に保たれています。

 

 

「 何て過保護な!! 」

 

と思わず叫んでしまいそうな程、

至れり尽くせり、手厚く育てられているのです。

ここで一つ疑問が湧きます。

 

「どうやって、常に35℃に保っているの?」

 

ワバチは冬眠することなく、一年中起きて活動しているハチなのですが、

一時的に育児を止める真冬を除き、

常に、正確に、育児エリア温度を 34~35℃ に保っています。

 

何と、

 

寒い冬は、発 熱(暖房)

 
暑い夏は、冷 却(冷房)

 

それぞれ行っているのです。


ワバチの巣内はまるで、温度センサー付きの、冷暖房エアコン完備!?

といった感じですね。

 

驚くなかれ、

実際にワバチは、温度センサーだけでなく、

二酸化炭素濃度(地球温暖化で問題になっている、温室効果ガス)も 感知出来るセンサーを、その小さな体に備えているのです。

 

実際の温度調節法は、これまた凄技なのですが、

これについては、次回以降少し詳しく書いてみたいと思います。

 


因みに、世界にいる9種類のミツバチの中でも、

巣内の温度調節が出来るのは、 閉鎖空間を住処とする

 

ワバチ率いる!? 「トウヨウバチ」「セイヨウミツバチ」

だけなんです。

 

このように、住環境をコントロールすることで、

変温動物であるワバチが、まるで恒温動物のように振る舞えているとも言えます。

 

ワバチ、 過ぎです!!!!





《 関連リンク 》

 ● ワバチのおうち

 ● 扇風機

 ● 打ち水!?

 ● 発熱



扇風機

最近は一時の猛烈な暑さも去り、秋の気配が漂ってきていますが、

ワバチは、暑さをどのようにして凌いでいるのかご存知でしょうか?

 

ワバチは、樹の洞(ウロ)などの 閉鎖空間 に巣を作りますが、

いくら直射日光が当たらない空間であっても、外気温が上がれば、

当然、巣内の温度も上がってきます。


高温になり過ぎると、幼虫が育たず、死んでしまうため、

ワバチは、巣内(育児エリア)を、育児をするのに最適な、



34~35℃



の温度に、何と、常に保つ努力をしているんです。

 

ワバチの暑さ対策には、いろいろな方法があって、これが凄いんです。

 

10.08.29

【 暑さ対策 】:取り付いていた巣板から離れ、暑さを凌ぎます。

 

暑くなり過ぎ35℃を超えてくると、高温を感知して、

まず、ハチたちは巣板から離れて、周りの壁に移動するようになります。

集まっていると暑いので、とりあえず皆で散ろう!!  といった感じですね。

 

P1030062

【 暑さ対策 】:巣門を開けると、こんな感じになっています。

初めて飼育する場合、こんな状態を見てビックリされる方もいるようです。

実は、暑さ対策を行っている姿なんです。

 

これで、育児エリアの温度は下がりますが、それでも追い付かない場合は、

扇風行動 に出ます。

 

CIMG1525

【 巣門前の扇風行動 】:扇風専門の働き蜂により風が送られます。

 

【 巣門前の扇風行動 】:一生懸命風を送り、巣内を冷やします。

 

暑過ぎれば、翅を羽ばたかせて扇風し、外気を入れて暑い空気を巣外へ押し出します。

肢を踏ん張って羽ばたいていますが、1秒間に150回位と、飛ぶ時よりも少ない羽ばたき回数なので、誤って飛び上がることはありません。

 

まるで 扇風機 のようですね。

 

 

扇風循環図

【 巣内の空気循環 】:中にいる扇風蜂と連動し暑い空気を巣外に押し出します。

不思議なことに、ヨウバチでは扇風の方向が逆で、頭を中に向けて、巣内の空気を吸引して外に出そうとします。

 

ミツバチ社会は、分業によって成り立っていて、

採餌蜂、門番蜂、育児蜂などが、専門的にその仕事をこなしています。


ただ、この扇風に関しては、専門に行う働き蜂(扇風バチ)というのは特に存在せず、

皆で協力して温度を下げているんです。

 

巣内のハチたちが、みんなで仕事をするので、

見えるのは巣門前にいる 扇風バチ だけですが、実は、巣内でも、

それに呼応するように、連動して扇風するハチたちが、沢山いるんです。

 

ワバチはこのようにして、巣内の空気を 循環 させ、

効率良く、冷たく、新鮮な空気を巣内に取り入れて、

暑い空気を、巣の外へ、押し出しているというわけなんですね。



凄いぞ、ワバチ!!

 


そして、扇風行動には、もう一つの 効果 があります。

 

幼虫やサナギは生きて呼吸をしていますが、吐く息は人と同じ二酸化炭素(CO2)です。

暑くなると呼吸も激しくなり、閉鎖空間ではCO2濃度が高まることになります。

CO2 は、地球温暖化の温室効果ガスとしても有名ですね。

 

これにより、更に暑くなるという 悪循環 に陥るのですが、

同時にこれは、巣内の 酸素 が薄くなるということでもあります。

 

扇風行動には温度を下げると同時に、酸素不足の解消 という効果もあるのです。


 

やっぱり、ワバチって  凄い ですね!!

 

 

次回は、もう一つの暑さ対策、打ち水!? について書こうと思います。



《 関連リンク 》

 ● ワバチのおうち

 ● エアコン

 ● 打ち水!?

 ● 発熱

打ち水!?

ワバチは、幼虫が死なないように、巣内の育児エリアを常に34~35℃に保っています。

これを超えてくると、

 

発熱体である自らが、巣板から離れる

翅を使って扇風する

 

といった行動をとり温度を下げようとします。

そしてもう一つ、「打ち水」をするんです。

 

夏場の暑い時期は、給水を専門に行う 「給水バチ」と呼ばれる働き蜂がいます。

 

給水

【 吸水する給水蜂 】:蜜用の「蜜胃」に水を貯めます。

普段は蜜胃(ミツイ)と呼ばれる特別の胃に花蜜を貯めますが、吸水時もこの蜜胃に水を入れて持ち帰ります。

 

【 吸水する給水蜂 】

給水バチはあまり遠くへは飛んで行かない(理由は後日)ため、

ハチを飼育する際には、近くに水を置いてやることも必要なんです。

 

 

給水バチは、外に飛び出し盛んに水を汲んできては、巣房壁に吐き戻します。

何と、ここに扇風することで、気化熱 を発生させ、温度を下げているのです。

 

云わば、「 扇風との合わせ技 」という訳ですね。

 

これは手に水を付けて、風に当たればより涼しくなるのと同じ原理です。

まさに、打ち水効果を狙っているんです。

 

例えば、木陰が涼しいのは、

木の葉が呼吸により放出する水分が、蒸発する際に周りの熱を奪っている(気化熱)からです。た、道に水を撒く(打ち水)ことでも涼しくなりますが、これも同じ理屈なんです。

 

何とワバチは、「 打ち水 」 も行っていたんです!!

 

 

また、この時期のワバチは、給水バチとは別に、

花蜜や花粉の採取を専門で行う

 

「 採餌蜂 」も水運びに一役買っているようなのです。

 

ハチミツ造りには、扇風による、花蜜中の水分除去作業が必要です。

水分が多いとそれだけ作業も大変になるため、

普段採餌蜂は、水分の多い花蜜を敬遠します。

 

ただ、この時期は特別で、

わざと水分の多い花蜜を選んで運び込むようなんです。

 

水分が多いということは、蒸発する水も多くなるということで、

打ち水効果も、それだけ得られ易くなるということになります。

 

つまり、一度の往復で、花蜜 を両方同時に運んでいることになるのです。

 

なんとワバチは賢いのでしょう!!!

 

おぉ、 ワバチよ ・・・・・、 もう何も言えません。

 

 

暑い時は、巣板から離れ、水を掛けては扇風する。

この方法で温度を下げることに成功しました。

 

では、逆に寒い時はどのようにして温度を上げているのでしょうか?

このことについては、次回書きたいと思います。



《 関連リンク 》

 ● ワバチのおうち

 ● エアコン

 ● 扇風機

 ● 発熱


 ● 蜜胃(ミツイ)!?




発熱

ワバチは育児エリアを適温(34~35℃)に保つため、様々な方法を取りますが、

防寒対策も凄技を使っています。

 

houkyuu

【 ワバチの蜂球 】:寄り集まって保温しようとします。

 

温度が下がってくると、

まず、働き蜂は育児エリアに寄り集まって 断熱層 を作ります。

ここで、幼虫や仲間の呼吸熱を体毛で捉えて、逃がさないようにしているのです。

 

暑い時とは真逆の 保温行動 ですね。

 

nihonmitsubachi_7043

【 ワバチの体毛 】:全身に生えている体毛が暖気を捉えます。

 

それでも追い付かない時は、

運動による 発熱 を行います。

 

「 飛翔筋 」 という、 (こちらを参照

 

普段飛ぶために使う、翅の付け根の 胸部 にある筋肉を震わせ、

自らの体を 発熱 させて温度を上げます。

この時、翅との連携を外すので、羽ばたきません。

 

エアダッシュ!? して体を温めるような感じですね。

 

・産毛のような体毛で、暖気を包むことで熱を保持し、

・同時に筋肉運動により、自らが発熱体となって温度を上げる。

 

 ワバチは、このようにして 育児エリアの適温 を保っているわけです。

 

この発熱方法、実は外敵からの防御策や、越冬の際にも多いに利用されていたりします。

ワバチの 防御策越冬 については、また別の機会に書こうと思います。





《 関連リンク 》

 ● ワバチのおうち

 ● エアコン

 ● 扇風機

 ● 打ち水!?


 ● 熱殺蜂球(オオスズメバチ襲撃④)

 ● 越冬


 ● フライト マッスル (飛翔筋)







プロフィール

やっこ

Author:やっこ
ニホンミツバチに関する様々なことを、
気ままに思いつくまま書いてます。
可愛く癒されるワバチの魅力を、たくさん発見したいと思っています。

アルバム
お知らせ!!
ブログに関する、お知らせをしています。

(現在、不定期に更新しています。)


・系図・作成ツール 公開!! → こちら


・採餌圏MAP 公開!!
 → こちら

Gallery
最新記事
ブログ内 検索
カテゴリ
月別アーカイブ
記事一覧

記事の一覧表示


管理画面 ( )
最新コメント
やっこ の オススメ書籍

ワバチに関する、おすすめの本です。

ぜひ、読んでみて下さい!!




ニホンミツバチが日本の農業を救う



ハチはなぜ大量死したのか