ハチロウ

蜂が作り出す (ろう)のことを、

 

蜂ろう 」(ハチロウ)

 

と呼んでいますが、よく聞くのは

 

蜜ろう 」(ミツロウ)

 

の方だと思います。

どちらも同じ意味で使われますが、厳密に言えば違います。

説明の便宜上、ここでは、2つを分けて書いていきたいと思います。 

 

蜂ろう が純粋な ‘ 生の蝋 ’ なのに対し、

蜜ろう は蜂ろう以外の 不純物 が加わっているものです。

 

また、色も蜂ろうは白色、透明ですが、

蜜ろうは花粉由来の色が加わることで、黄色掛かった 様々な色 になっています。

 

ワバチを含め、ミツバチの巣は、この蜂ろうを使って作られて行きますが、

巣を作る過程で、汚れ や、花粉由来の 色素 などが加わり色が付いて行きます。

 

このようにして出来上がった巣板を、

溶かし・精製して・ある程度、不純物を取り除いた ものが、蜜ろう なんです。

完全に精製すると、色素も取り除かれ、真っ白な元の色に戻ってしまうようですね。

 

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【 様々な形と色の蜜ろう 】

 

ハチが 蝋 を自分で作り出すなんて!!!

 

この事実を初めて知った時は、本当に驚いたのを覚えていますが、

ミツバチの巣が、蝋から出来ていることは知っていても、

どうやって、蝋を作り出すのかを知っている方は、少ないのではないでしょうか。

 

 

いったいどのように 蝋 を作り出しているのでしょう?

 

ミツバチの腹部の腹側には、蝋を出すろう腺(ワックス腺)が4対あります。

 

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【 ろう腺から分泌される蜂ろう 】:4対、計8ヶ所から蝋が分泌されます。

 

この ろう腺 で蝋が生成、分泌され、

 

「 うろこ状の 蜂ろう 」

 

が作り出されているのです。

初め蝋は、液体状 で分泌されるのですが、体の表面上に薄い膜のように広がり、

すぐに冷えて固まることで、蝋片 となります。

 

ワバチを飼育されている方などは、良くご存知かと思いますが、

入居直後など、巣板作りが盛んな時期は、

巣箱の底に、この小さな蝋片が沢山落ちているのを見ることが出来ます。

 

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【 うろこ状の蝋片 】:白く透き通っていて綺麗です。

 

この蜂ろうの原料になっているのは、実は、ハチミツ なんです。

ハチミツ中の 糖質 を利用して、体内で蝋を 生合成(体の中で化学変化によって作り出すこと)しているんです。

 

ハチミツは、このように、食べ物以外にも利用されているんですね。

飼育時、砂糖水などを給餌してあげることで、巣作りが活発化したりすることがあるのですが、それは巣板の原料である糖質が供給されるからなんです。

 

巣板は、以下のような経緯で作られて行きます。

 

 

蜂蝋

 

 

・分泌された蝋片は、後肢の棘のある剛毛に引っかけられて、口元まで運ばれます。

・そして、口にある大顎(オオアゴ)でこれを受け取り、

   大顎の付け根にある「 大顎腺 」から分泌される 酵素 と混ぜられます。

・この時大顎の温度は 40℃ 以上に上がってるようです。

   何と、蝋を柔らかく(融点は64℃前後)して加工し易くしているんです!!!

 

す、凄過ぎっ!!!

 

こうして酵素や高温によって扱い易くした蜂ろうを使い、巣板を作り上げていくんです。

出来上がった巣板は、初めは白いのですが、

使われるうちに、体毛に付いた花粉の色素が付着するなどして変色していきます。

 

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【 巣板の色の変化 】:写真下、左から右へと変化します

あまり使われていない巣板は、白くきれいなままですが、頻繁に使われる所から変色していきます。

 

また、出来て直ぐの巣板は柔らかいのですが、

育児により幼虫から出される 排泄物の堆積 や、サナギになる際に出す 繭糸 によっても、巣板が強化されていくようです。

 

因みに、ヨウバチはプロポリス(蜂ヤニ)と呼ばれる粘着物質で巣板を補強するのですが、ワバチは一切しないんです。興味深い違いですね。

これに代わる何か独自策を、ワバチは秘かに隠し持っているのかもしれません・・・。

 

まだまだワバチは、分からないことの多い 謎の!? ミツバチなんです。

 

 

ところで、ミツバチの巣と言えば、六角形のハニカム構造ですが、

この事については、また別の機会にあらためて書きたいと思います。





《 関連リンク 》

 ● ワバチの巣(巣板)

 ● ハニカム構造







ハチミツ とはなに!?

ハチミツ

 

「 ハ チ ミ ツ 」

 

ミツバチと聞いて、これを連想しない人は、まずいないでしょう。

逆に、ハチミツと聞いて、

 

「 ミ ツ バ チ 」

 

を連想しない人も、また然りではないでしょうか。

実際、ハチミツミツバチ は、切っても切れない関係にあります。

 

 

この「 ハチミツ 」とはいったい 何なのでしょう?

 

一言で表現するなら、

 

「 ミツバチが花の蜜を使って造り出す、奇跡のような食品 」

 

ということになるでしょうか。

ここで勘違いして頂きたくないのは、

 

「 花蜜 ≠ ハチミツ 」

 

つまり、花の蜜 がそのまま ハチミツ になる訳ではない ということです。

 

人が、ブドウ から ワイン を造り出しているのと同様に、ハチミツは、

ミツバチが 花の蜜を原料 にして、手間暇をかけて加工し造り出している、

 

云わば、加工品 なんです。

 

実は、現代の先進技術をもってしても、人類には作り出せない凄いものなんですよ。

このハチミツを造る性質が、

 

「 人類をして、ミツバチを家畜たらしめた 」

 

とも言えますが、

人類が誕生する遥か昔から、ミツバチは 加工技術 を体得していたんですね。

 

 

凄いぞ、ワバチ!!!

 

 

ハチミツについては、まだまだたくさん紹介したいことがあるので、

不定期ですが、今後何回かに渡って詳しく書いていこうと思っています。

お楽しみに!!!





《 関連リンク 》

 ● ハチミツ が出来るまで(その1)

 ● ハチミツ が出来るまで(その2)

 ● グルコース

 ● フルクトース

 ● 微量成分






ハチミツ が出来るまで(その1)

ハチミツを知らない人はいないはずですが、

ハチミツが、どうやって造られているかを知る人は、非常に少ないと思います。

 

honey

 

 

 

主に花の蜜を使ってハチミツは造られますが、

単に、花の蜜の水分を飛ばせば、ハチミツが出来る。

といった、単純な話ではありません。つまり、


「 花蜜 = ハチミツ 」ではない 


ということなんです。では、


いったい、どのように造られているというのでしょう?


簡単に言ってしまえば、

 

「 花蜜に酵素を加えて成分を変化させ、水分を飛ばして造っている。」

 

ということになります。

この説明では、あまりにも味気無いので・・・

 

不思議なことに、難しい言葉で表現すると、

凄いことが起こっているように、感じて(錯覚して)しまうものです。

こんな場合、大抵は、小むずかしいのは、言葉だけなんですが、


ここでは、実際、本当に、凄いことが起こっているので、

折角ですから、ここはちょっと難しく、専門的に表現してみたいと思います。

 

ハチミツは主に花の蜜を原料として、

 

ミツバチが自らが作り出す 酵素 を加えることでの「 化学変化 」

並行して行われる 扇風 などによる「 脱水 」

 

によって、出来上がっています。

どうでしょう、なんか凄いことが起きているように感じませんか?

 

 

次回は、ハチミツが出来るまでの、具体的な工程を詳しく書いてみたいと思います。





《 関連リンク 》

 ● ハチミツ とはなに!?

 ● ハチミツ が出来るまで(その2)

 ● グルコース

 ● フルクトース

 ● 微量成分









ハチミツ が出来るまで(その2)

ハチミツは、主に花の蜜を原料として、

 

・ミツバチが自らが作り出す 酵素 を加えることでの「 化学変化 」

・並行して行われる 扇風 などによる「 脱水 」

 

によって出来上がっていますが、

ハチミツが実際に作られる過程を、少し詳しく説明していきます。

 

ミツバチは高度に組織化、分業化された社会で生活を営んでいますが、

花の蜜や花粉を専門に採りに行く「採餌蜂」と呼ばれる働き蜂がいたり、

育児を専門に行う「育児蜂」、ハチミツを専門に作る「貯蜜蜂」などが存在しています。

 

 

採餌蜂による 採蜜

ミツバチは 蜜胃ミツイ)と呼ばれる花蜜を貯める専用の胃を持っていて、

採餌蜂が花を回って集めた花蜜は、まずこの蜜胃に貯められます。

 

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【 蜜胃中の花蜜イメージ 】:多くの花を回りながら花蜜を貯めていきます。

 

この花蜜貯蔵タンクである蜜胃に、

体重の半分である約40mgもの花蜜を貯めて持ち帰るのですから、凄い量と言えますね。

(詳しくはこちらを参照)

 

蜜胃は食道の一部が風船のように膨らんでいる部分ですが、

この先の腸に行くことで、初めて体に吸収され自分の食べ物となります。

 

ただこの蜜胃と腸の間には弁があって、採餌中はこの弁を閉じて決して自分のものにすることは無いのです。 (飛翔用の燃料が切れた場合は、ここから使用します)

 

つまり集めた花蜜は自分のものではなく、巣の仲間との共有財産ということなのです。

ミツバチは無私の心で仲間の為に働きます。

実際に1匹の満腹のハチと数匹の空腹のハチを同居させると、

満腹バチは蜜胃の蜜を皆に分け与え、餓死するタイミングはほぼ同じになるそうです。

 

 

採餌蜂 から 貯蜜蜂 へ

採餌蜂 が巣に戻ると、入り口付近に待機している蜜の貯蔵を担当する 貯蜜蜂 に、

口移しで蜜胃の中にある花蜜を渡します。

 

この受け渡しの際に、頭部内にある、下咽頭腺という所から、数種類の酵素が分泌され、

花蜜に混ざることになります。

この 酵素 が後に、重要な役割を果たしていくことになるのです。

 

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【 花蜜の口移し 】:写真はヨウバチです。 (参照動画はこちら

 

持ち帰ってすぐの花蜜は、水分量が 30~70% と 非常に高い 状態にあり、糖度も低く、このままではすぐに腐り出してしまいます。

(糖濃度を上げてやると腐敗菌は活動出来なくなります)

 

この状態では保存用の食料としては到底使えないため、

長期保存可能な ハチミツ に造り変えていく必要があるのです。

 

 

仮置き場への 一時貯蔵

花蜜を受け取った貯蜜蜂は、空き巣房を探し出し、とりあえず 、

仮置き場 として、一時そこに花蜜を入れていきます。

 

 

花蜜の 移動

仮置き場に貯められた花蜜は、夜間などを利用して保存用の巣房に 移動 されます。

何度かこの移動を繰り返すのですが、これらの移動や吐き戻しの都度、花蜜に酵素が加えられることになります。

 

 

酵素による 化学変化

花の蜜が酵素と混ざることで、花蜜に 酵素反応 が起こります。

ここで起こる 化学変化 によって、

 

花 蜜(Nectar)が ハチミツ(Honey)へと変化していくのです。

 

 

水分除去作業

同時に腐敗を防ぐため、花蜜に含まれる水分も除去され、糖度が上がっていきます。

水分の除去は、口吻での操作 翅(はね)を使った扇風 の2段階で行われています。

 

口吻での操作 というのは、 (口吻はこちらを参照)

口吻を半ば開いて、花蜜を薄い膜状に引き伸ばし、蜜を出し入れして蒸発を促す作業です。

 

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【 口吻操作による水分除去 】:口吻を開いて蜜を出し入れします。

 

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【 口吻操作による水分除去・酵素添加の様子 】:写真はヨウバチです。 (参照動画はこちら

説明では蜜を吸うとありますが、この映像、実は水分除去と酵素添加中のものです。

よく見ると口吻を少し開いて、吸う・吐き戻す を繰り返し行っています。

 

この口吻の操作の間にも、多量の酵素が加えられ、徐々にハチミツに変化していきます。

 

こうしてある程度水分除去が進み、濃縮された 未熟蜜 は、

次に少量ずつ水滴状に小分けされ、膜状に引き伸ばされた形で巣房に塗り付けられます。

こうすることで、空気に触れる表面積が増え、水分蒸発が促進されるのです。

 

ここで更なる促進の為、

翅を使った扇風 により風を当て、一気に水分を除去しているのです。

 

濡れたタオルは、広げて風に当てれば一発で乾きますが、これと同じ理屈ですね。

 

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こうして小分けされ、水分除去された 未熟蜜 は、

再度集められて巣板上部の 長期保存用 の巣房に貯蔵されることになります。

 

因みに、ハチミツを大量に作っている時というのは、

この扇風による脱水作業によって、大量の水が発生するため、巣内はびっしょり濡れることもあるんです。 夜間、巣箱に耳を傾けると、この扇風の音が聞こえてきたりもします。

 

 

蜜蓋による 封印

最終的に水分が約20%になり、糖度が 80% くらいまで濃縮されると、

ミツバチは合格と見なして、その巣房に蜂ろうで 蜜 蓋 (ミツブタ)と呼ばれる蓋を掛けます。

 

幼虫がサナギになるときにも、蝋を使って蓋をするのですが、

この時には、使用済みの蜜ろうを再利用したりします。

つまり、蓋に不純物が含まれているということです。

 

ただ、この蜜蓋を作るときは、再利用はせず、

分泌したての不純物の無い、きれいな蜂ろうを使っています。

(だから蜜蓋は白く見えるんです。 詳しくはこちらを参照)

 

食品用の蓋だから、という理由でしょう。

ミツバチは何と衛生面にも気を使っているんですね。

こんな細かな、しかし大事なことまで体得しているなんて、驚きです!!

 

ハチミツを採取する場合は、よく熟成された証であるこの蓋掛けされた蜜を採るのが原則とされています。

 

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【 蜜蓋が掛かった貯蜜巣房 】:糖度約80%で蓋掛けされます。

 

花蜜が運び込まれてから、ここまで、通常 丸3日 を要します。

この間貯蜜蜂たちは、昼夜を問わず、皆で協力しながらこの作業を繰り返しているんです。

 

 

 

化学変化について少し補足します

 

花蜜状態での、糖の大部分の成分は、

二糖類の ショ糖スクロース)と呼ばれるもので、これは砂糖の主成分でもあります。

 

 

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残念ながら、このショ糖のままでは、直接吸収出来ないため、

一度体の中で、吸収可能な形の糖 に分解してやらなければならないのです。

つまり、花蜜のままでは、すぐにエネルギーとして使えないということです。

 

 

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【 酵素によるショ糖の分解 】

ショ糖は、ブドウ糖と果糖に分解されて初めて、体に吸収されます。

 

いくら脱水により糖度を上げて、長期保存が出来るようにしたとしても、

食べてすぐに動けない のであれば、効率の良い食物とは言えません。

 

そこでミツバチは花の蜜をハチミツに変える過程で、

酵素α-グルコシダーゼ・β-フルクトフラノシダーゼ)を加え、

花蜜中の ショ糖 を、すぐに体に吸収され、エネルギーとして利用出来る

 

ブドウ糖グルコース) と 果 糖フルクトース

 

と呼ばれる単糖類に変えているんです。 (特にブドウ糖はすぐに吸収されます)

 

 

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【 糖の成分変化 】:花蜜からハチミツになるまでに糖成分は変化しています。

 

このように、完成したハチミツというのは、

既にほぼショ糖は無く、ブドウ糖果糖 に変わっているのです。

つまり、食べてすぐに動ける糖、になっているという訳ですね。

 

実際にエネルギー切れで餓死寸前の痙攣状態の時に、ハチミツを食べさせてあげると、

あっと言う間に元気な状態に復活し飛び立ってゆきます。

ハチミツの即効性、エネルギー効率の良さには、本当にビックリさせられます。

 

更に、違う酵素グルコースオキシダーゼ)を使って一部のブドウ糖を

過酸化水素グルコン酸 という 有機酸 に変えています。

 

グルコン酸 は、

・pH(ペーハー)を下げることで、ハチミツに独特の酸味を与える

・微生物による 腐敗 や 発酵 を防ぐ

 

過酸化水素 は、強力な殺菌作用を持つため

・水分が多く腐敗しやすい未成熟な状態のハチミツの劣化を防ぐ

 

といったことにそれぞれ役立てているのです。

何と、脱水による防腐だけでなく、いわば防腐剤までも一部作り出しているんですね。

 

以上、このような工程を経て、

ミツバチは、花の蜜 を ハチミツ に変え、

 

 

すぐにエネルギーに変わる腐敗しない 長期保存可能 な食糧 』

 

 

を造り出しているのです。

 

 

 


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こんなにも手間暇をかけて、加工し、造り出されているなんて、

 

ミツバチとはなんと賢く、

ハチミツとはなんと素晴らしいのでしょう!!!

 

もちろん人間が食べてもすぐに吸収され、エネルギーに変わるので、

疲労回復などにもうってつけというわけですね。

 

 

今回は、ちょっと専門的な内容も含めて書きましたが、

難しい表現を差し引いたとしても、

やっぱり ハチミツは凄い ということが分かって頂けたかと思います。

 

 

 

ありがとう、ミツバチ、

 

 

ありがとう、ワバチ!!!!





《 関連リンク 》

 ● ハチミツ とはなに!?

 ● ハチミツ が出来るまで(その1)

 ● グルコース

 ● フルクトース

 ● 微量成分


 ● 蜜胃(ミツイ)!?

 ● マウス

 ● ハチロウ





グルコース

ハチミツのことを知りたければ、その成分について知るのが近道です。

 

 

ハチミツ中に最も多く含まれている成分は、

 

グルコースフルクトース と呼ばれる糖ですが、

 

グルコース(C6H12O6)の別名は、

 

「 ブドウ糖 」

 

と呼ばれています。(糖なので舐めると甘いです)

 

この糖は、花蜜中に含まれる ショ糖 が分解されて出来ていますが、

(詳しくはこちらを参照)

果糖(フルクトース)と並び、ハチミツには欠かせない成分の一つです。

 

ブドウ糖は、これ以上分解する必要のない、最もシンプルな糖なので

 

単糖

 

と呼ばれるのですが、この糖、実は、人間にとっては

 

脳を動かす唯一のエネルギー源

 

だったりします。

勉強して、頭を使った後などに、妙にお腹が空く、といった経験をしたことはあると思いますが、これは、脳が大量にブドウ糖を消費したので、

 

「ブドウ糖くれー!!」

 

と言っている状態なんです。

 

こんな時は、ハチミツを摂取しましょう。

すぐに体に吸収されるので、非常に効果的なんです。

最近ではブドウ糖だけを錠剤にしたものも販売されていますが、なんだか味気ないですよね。

やっぱり、ハチミツの方が香りもあり、気分的にもリラックス出来るので、断然こちらがお勧めです。

 

ところで、

冬場などに、ハチミツが白く濁ったように、結晶化するのを見たことはあると思います。


結晶蜜

【 結晶化したハチミツ 】

 

これ実は、ブドウ糖 が犯人なんです。

 

ブドウ糖は結晶化し易いという性質を持っていて、

ブドウ糖が含まれている以上、全く結晶化しないハチミツはありません。

 

結晶化は、ハチミツの宿命 なんですね。

 

よく言われるのが、

 

「 結晶化するハチミツは 本物 の証だ!! 」

 

という文句ですが、これって本当なのでしょうか?

 

確かに、ハチミツは結晶化するものなので、この言葉は間違っていません。

ただ、結晶化しないからと言って、一概に 偽物 と言い切れないのもまた事実なんです。

 

実は、ブドウ糖の量は、花の種類によってまちまちです。

ハチミツ中に、果糖の方が多く、

ブドウ糖が極端に少なかったりすると、一年以上 結晶化しないこともあったりします。

(より多くブドウ糖が存在しているほど、早く結晶化が起こります。)

 

ハチミツは、大抵1年以内には消費されてしまうものなので、

食べ終わるまで全く結晶化しなかったからと言って、

直ちにこれが 偽物 とは言えないということなんです・・・・。

 

ただ、ヨウバチが造る、レンゲ、アカシアといった花の名前を冠した、

「 単花蜜 」(一つの花の蜜から造られたハチミツ)

として売られているハチミツは別です。

 

花によって、ブドウ糖の量が分かっていますので、

例えば、

アカシア(ニセアカシア)は、果糖を多く含み、結晶化の遅いハチミツです。

もし、アカシア蜜が直ぐに結晶化した場合は、偽物ということになるでしょう。

 

逆に、

菜の花(ナタネ)は、ブドウ糖が多く、結晶化が早いハチミツです。

この蜜は寒くならなくても結晶化し、

この蜜が混ざっただけでも、そのハチミツは、同様の傾向を示すようになるようです。

 

草の花 は 結晶化し易く、樹の花 は 結晶化し難い 」

 

全てに当てはまる訳ではありませんが、こう覚えておくとよいかもしれませんね。

結局、目安にはなっても結晶化の有無だけで、真贋を判断するのは難しいと言うことです。

 

では、ハチミツの真贋を見極めるにはどうすれば良いのか?

この事については、また改めて書いてみたいと思います。

 

 

 

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余談ですが・・・・・、

炭水化物について

 

「 炭水化物 」

 

3大栄養素の一つで、よく耳にする言葉だと思います。

これっていったい何なのか、説明するのはなかなか難しいものですが、

簡単に云ってしまえば、「 糖質 」のことなんです。

 

例えば、お米、これは炭水化物です。

云うまでもなく日本人の主食ですが、実はこの中にはブドウ糖が含まれています。

 

単糖 がたくさん、くっ付いた状態の糖を、多糖類 と呼んでいますが、

炭水化物は、まさにこの 多糖類 なんです。

花蜜の主成分であるショ糖は、ブドウ糖と果糖の2つの単糖が結合しているので、2糖類と呼ばれます。

 

お米の主成分は、デンプン ですが、

小学校の理科の実験で見た思い出があると思います。

ジャガイモを切った後の包丁に、白く付く 粉状 のあれです。

 

実はこのデンプン、ブドウ糖がたくさん結合 して、形を変えた物なんです。

形が変わっているので、糖なのに舐めても甘く感じません・・・。

 

このデンプンを、体で吸収するためには、

単糖である ブドウ糖 まで酵素を使って分解してやらなければなりません。

 

 

 

食品別-糖分解イメージ

 

 

 

何と、お米は吸収するまでに、3回も分解する必要があるんです。

これに比べ、ハチミツは初めからブドウ糖になっているので、

そのまま吸収され、血糖値を上げて、脳などの活動エネルギーとしてすぐ利用されます。

 

ハチミツは、エネルギー摂取のための栄養源としては、

 

最も合理的、理想的 な食べ物と言えるでしょう。

 

 

理想食を造り出せるなんて、

 

やっぱり、ワバチは凄いですね!!

 

 

次回は、ハチミツ中にあるもう一つの糖、果糖 について書いてみたいと思います。

 

 

 

更に余談ですが・・・・

 

炭水化物は糖質のことですが、

何故、炭水化物などという分かりにくい、名称になったのでしょう?

 

化学式で書くとこの言葉の由来が解ります。

実は炭水化物の多くが、CHO の形の化学式で表されます。

この形は、まさに 糖の化学式 のそれなのですが、

 

これを C(H2O) に書き換えると、炭素 ということになります。

つまり、炭素:C水:H2O が 混ざったものという意味で 、

 

化物 」

 

というわけです。

分かりやすく素直に、糖質 と呼べばいいのに、といつも思ってしまいます・・・・。






《 関連リンク 》

 ● ハチミツ が出来るまで(その2)

 ● フルクトース

 ● 微量成分






フルクトース

前回は、グルコース (C6H12O6 )(ブドウ糖)について書きましたが、
ハチミツ中に多量に含まれるもう一つの糖は、フルクトース (C6H12O6 )、別名

 

「 果 糖 」

 

と呼ばれる糖です。

 

この糖は、天然に存在する糖の中では最も甘く、

砂糖(ショ糖)に比べると、何と、約1.7倍甘い そうです。


ハチミツが砂糖より甘く感じるのは、この果糖の影響が大きいようですね。

ただ、甘みは 温度 によっても左右されます。

 
40 ℃ 以下でないと、砂糖よりも甘くならないようで、

果糖はより冷やして食べた方が美味しく感じるようです。

 

リンゴ、ナシ、ブドウ、スイカ は、冷やすと美味しくなりますが、

これは果糖を多く含んでいるからなんです。

 

ハチミツの場合は、果糖だけでなくブドウ糖も含んでいますので、

一概に冷やせば良いというわけではありません。

 

冷蔵庫で冷やした場合と、常温の場合で食べ比べるとすぐに分かります。

明らかに 常温 のハチミツの方が、甘く美味しく感じられます。

ハチミツのラベルには、必ず「保存方法は常温」と書かれていますが、

その方が美味しいからなんですね。

 

一方のブドウ糖は、その性質上、14℃ に近いほど結晶化し易くなるので、

これより少し高い温度にすることで、バランスよく甘みを引き出せる可能性があります。

 

また、果糖の含有量 によっても甘みは変わります。

果糖が少なく、ブドウ糖の割合が多いと、全体の甘さは抑えられてしまうようなんです。

つまり、果糖がより多い ハチミツの方が甘いということですね。


実際に、食べ比べてみたことがあります。

国内ハチミツで最も重要視される、アカシア (ニセアカシア) と レンゲ です。

 

 

acacia      astragalus

【 アカシア 】                                 【 レンゲ 】

 

 

果糖成分の多い、アカシア蜜 (樹の花:結晶化しにくい)

ブドウ糖成分の比較的多い、レンゲ蜜(草の花:結晶化し易い)


やはり、果糖の多いアカシア蜜の方が、断然 甘かったですね。

レンゲ蜜と比べると、甘過ぎる(ベッタリした甘さ)くらいに感じてしまいます。

個人的には、レンゲ蜜の酸味を含んださわやかな甘み、の方が好みでした。

 

一般に、樹の花 の方が、果糖を多く含む傾向にあるので、

樹の花から採れるハチミツの方が、甘い傾向にあるのかもしれません。

甘いから美味しいという訳ではありませんが、選ぶ上での目安にはなるかと思います。

 

「 樹は草より高いので、甘さも上!? 」 と覚えて下さい!!

 

これからは、草の蜜なのか、樹の蜜なのか、

ちょっと気にしながら、ハチミツ選びを楽しんでみては如何でしょうか。

 

 

 

 

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余談ですが・・・・・、

果糖とブドウ糖について

 

果糖はブドウ糖と 化学式(分子式)が全く同じであることにお気づきでしょうか?

 

ブドウ糖 C6H12O6 

果  糖      C6H12O6

 

つまり全く 同じ分子 で出来ている糖ということです。

 

・6個の炭素分子(C)

12個の水素分子(H)

・6個の酸素分子(O)

 

それぞれ同じ種類と数の分子を持つにもかかわらず、

結合の仕方が異なるだけで、違う形になり、性質、働きも 違ってくる んです。

 

 

ブドウ糖と果糖

 

 

例えば、

果糖は結晶化し難いブドウ糖はし易い

果糖は吸収が穏やかブドウ糖は速い

果糖は吸水性が強いブドウ糖は弱い

果糖は甘みが強い    が ブドウ糖は弱い

 

何とも不思議ですね、化学(バケガク)の世界って。


果糖とブドウ糖は、

全く同じ食材を使った、全く違う料理、とイメージすれば良いのでしょうか・・・・。

 

ハチミツは、健康食品と言われることもありますが、

この異なる性質の糖が混在していることで、様々な効果 を与えているのでしょうね。





《 関連リンク 》

 ● グルコース

 ● 微量成分












微量成分

人に必要な栄養素のうち、

 

炭水化物(糖質)タンパク質脂質ビタミンミネラル

 

以上を5大栄養素と呼んでいます。

実はハチミツには、一応 この5大栄養素 全てが含まれています。

 

 

 

微量成分

 

 

 

 

ハチミツの主成分は、云うまでもなく 糖質 です。

花の種類によっても変わってくるのですが、

 

ブドウ糖と果糖  : 約70~80%

水  分               : 約20% 前後

 

ハチミツは、ほとんど 糖質水分 だけからで来ている、ということですね。

 

残り 約5~10% の 微量成分 としては、

 

・ビタミン      :(ビタミンB1・B2・B6・C など)

・ミネラル      :(K・Na・Ca・Mg・Fe・Cu など)

・酵  素          :(α-グルコシダーゼ・グルコースオキシダーゼなど)

・有機酸         :(グルコン酸・クエン酸・リンゴ酸など)

・アミノ酸      :(リジン・グルタミン酸・アスパラギン酸など)

・香気成分      :(テルペン・アルデヒド・アルコール・エステル類 など)

・色  素          :(花蜜・花粉由来で微量)

・その他の糖質:(オリゴ糖・麦芽糖・ショ糖)

・タンパク質   :(花粉由来で極々微量)

・脂  質          :(花粉由来で極々微量)

 

となります。

 

微量成分に関しては、タンパク質脂質 は、ほぼ無いに等しいのですが、
他は、蜜源花の種類によって、含まれない成分もあったりします。

 

糖質、有機酸 に関しては、

ミツバチの働きで作り出されていますが、ビタミンやミネラル、香気成分は違います。

 

何故、ビタミンなどが含まれるのかというと、

元々 花蜜 花粉 に含まれていたものが、ハチミツに入り込んでいるからです。

 


この微量成分たちの効果についてですが、

 

実は、有機酸 がハチミツの美味しさに影響を与えています。

糖質に対して、有機酸の割合が多いほど、美味しく感じる。

つまり、甘さの中に、ほど良い 酸味 があるほど、美味しく感じるということです。

 

そして、多くの アミノ酸 は、ハチミツの味を大きく左右する存在です。

「味の素」などの化学調味料には、アミノ酸(グルタミン酸ナトリウムなど)が含まれます。

アミノ酸は 旨味の素 なのです。

 

また、一部のアミノ酸は、ハチミツが変色する原因になっています。

ハチミツを長期間保存しておくと、褐色に変色 していきますが、

これは、アミノ酸がブドウ糖や果糖と反応して、暗色物質 を作るからなんです。
(体に害はないので、食べても大丈夫です)

 

ミネラルである 鉄分(Fe) は、紅茶を黒く濁らせます。

鉄分が紅茶のタンニンと結合すると、黒いタンニン鉄を生成します。

黒く濁るのはこのためで、体に害はありませんが、気になるようなら、レモンを入れることでこれを消すことが出来ます。

 

そして、香気成分 は、ハチミツ独特の香りに大きく影響しています。

つまり、ハチミツらしさ を作る素になっているのです。

 

ほんの僅かしか存在しない成分ですが、

微量ではあっても、ハチミツを形作る上で、大きな影響を与えているんですね。

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

余談ですが・・・・・、

ハチミツの人への効能について参照サイト

 

ハチミツに含まれる、

微量成分を指して、栄養豊富様々な効能 などとよく言われます。

 

これら微量成分は、人体に有用な作用を与えてくれるものも、当然あります。

ただ微量すぎるので、スプーン一杯のハチミツくらいで効果が出るとは到底思えません。

 

例えば、ビタミンCの場合、一回に 約1kg のハチミツを摂取しないと効果が出ません。

効果を得るには、一度にいったい何キロのハチミツを食べなければいけないのでしょう?

糖分の取り過ぎで、かえって体を悪くしてしまいます・・・・。

 

つまり

一概に 栄養豊富で様々な効能がある とは言い切れないということなんです。

 

ネットや健康雑誌などでは、ハチミツの効能を肯定的に書いている内容ばかりです。

よく見ると、これらは、ハチミツを売る側のサイトや書籍、或いはスポンサーであることに気付きます。つまり、売り手側の理屈 ということなんです。

 

例えば、冒頭に書いた、「 ハチミツは5大栄養素を全てを含む 」

ここだけ見ると、凄い栄養豊かなんだ!! と勘違いしてしまいます。

言葉自体に嘘はありませんが、

実情は、タンパク質・脂質は無いと言えるくらいの微量です・・・・。

 

ただ、古今東西、ハチミツの人に対する効能は経験的に実証されていますし、

科学的にも一部証明されてもいます。

 

全くの嘘を言っているわけではないので、これでも良いのでしょうが、

大袈裟に強調するのは、ちょっと違う気がしてしまいます・・・・。

 

「 ハチミツは、美味しく効率的に、エネルギー補給が出来る食品 」

 

それ以外の効能は、そんな可能性もあるよ、という程度で

大人の都合に惑わされず、過度に期待はしない方が良いということですね。

 

 

 

《 関連リンク 》

 

グルコース

 

フルクトース









花 粉

ワバチは、人間同様

生きていくための、様々な栄養素を、食べ物 から摂取しています。

 

では、ワバチの食べ物って何なんでしょう?

 

それは、主に植物の花から得られる、

 

「 花 蜜 」「 花 粉 」

 

これが全てなんです。

全てを に頼っていますので、当然、花が無ければ、生きていけません。

ミツバチが、花バチ と呼ばれる所以でもありますね。

 

5大栄養素 と言った方が、分かりやすいと思いますが、


タンパク質・脂質・炭水化物(糖質)・ビタミン・ミネラル


人間同様、ワバチにとっても、これらの 栄養素 は生きる上で欠かせません。

 

花蜜 は、ワバチによって加工された、ハチミツ という形で、利用されますが、

このハチミツは、5大栄養素の内の、炭水化物質(糖質)しか満たしてくれません。

(ハチミツはその他4つの栄養素も含みますが、微量過ぎて無いに等しいんです)

 

 

 

ハチミツ2

 

 

では、残り4つの栄養素は、どうやって、摂取するのでしょう。

 

そう、 「 花粉 」からなんです。

 

花粉は、団子 にして集められますが、

この 花粉団子 には、糖質も含め、全ての栄養素 が含まれているんです。

 

地味なイメージで、ハチミツのように、大量に貯蔵することはないのですが、

実は花粉って、「 ものすご~く 」 重要 な食糧なんです。

 

 

花粉ダンゴ

 

 

日本人にとっての、

ごはん炭水化物質)が、ワバチにとって ハチミツ だとすれば、

おかずその他栄養素)は、花粉 ということになりますね。

 

そして、人がお米だけでは、健康に生きていけないのと同様、

ワバチも、ハチミツだけでは、健康 に生きられないんです。

 

花粉は特に、幼虫 が成長するための食料としては、欠かせません

これが無ければ、育児が出来なくなる んです。

 

つまり、花粉源の不足は、

そのまま、ワバチ群の 衰退消滅直結 してしまうということなんですね。


いかに花粉が、ワバチにとって 重要 か、お分かり頂けるでしょうか?

 

 

 

 

花粉は、植物の 生殖細胞(人で云えば精子)そのものですが、

これにハチミツが加えられた 花粉団子 には、

5大栄養素全て が、バランスよく含まれていて、ワバチにとって、

 

理想的 な 栄養源

 

と言えるのではないでしょうか。

ここで一つ、疑問が生じます。

 

そんなに重要な食べ物なら、何故ハチミツの様に大量に貯めないのか?

 

それは、ハチミツほど 大量 に、花粉を必要としないからのようです。

 

ハチミツは、食料以外に、たくさんの用途に使われます。

 

成虫が活動するための食料。

幼虫が育つための食料。

・巣を作るための、蜂ろうの原料。

・育児のための、温度調節(発熱)用の燃料。

・冬を乗り切るための、暖房用の燃料。

 

特に育児や越冬のための、発熱 に使うハチミツ量は、莫大なもので、

貯蜜の 大半 は、この 燃料源 として消費されてしまうようです。

この為、常に花蜜を集め、大量のハチミツを造り、貯蔵 を行う必要があるんです。

 

このように、純粋な 食糧以外の用途 に多量に使われているんですね。

 

 

一方、花粉の用途は、食料 のみです。

 

・幼虫の体を作るための食料。

   → 花粉は直接、またはローヤルゼリー(体内で花粉を加工します)に変えて、

       幼虫に与えられます。


・女王蜂と幼虫の食料である、ローヤルゼリーの原料。

   幼虫へは最初の3日間、ローヤルゼリーが与えられ、その後は花粉になります。

       女王蜂の食料は、主にローヤルゼリーだけで、一生これを食べ続けます。


・成虫の体を維持するための食料。

   働き蜂は、体を大きくする必要が無く、ハチミツだけでも活動はできますが、

       健康な体を維持するために、花粉やローヤルゼリーも食べています。

 

花粉は、特に育児の際に、幼虫の食料として 大量 に使用されますが、

育児期間19日間の内、幼虫の期間は6日間と短いので、

常には 多くの量を必要としないようです。

 

実際、育児が活発な時期以外は、積極的に集めることをしません。

基本的に、大量に貯めておく必要が無く、

その都度、自転車操業的に採取するだけで、十分足りるということなんでしょうね。

 

ワバチの飼育では、砂糖水などの 糖質の給餌 はよく行われるようですが、

花粉の給餌 は疎かにされがちです。

花粉の給餌により、生まれる働き蜂の数も増えるようです。

 

ヨウバチ用の 代替花粉 が市販されていたりしますが、

花粉の給餌は、単枠式巣箱では、巣底ではなく、育児蜂により近い、

巣板のに置いてやる必要があるようです。

 

巣の下に置いても、砂糖水のようには取り入れないようで、重箱式などの巣箱では、

給餌そのものが 難しい という現状があったりします・・・・。

 

ワバチは、子育てが出来ない状況に陥ると、逃去(お引越し)を企てます。

もしかしたら、今までの逃去や不調は、


スムシではなく、花粉不足 が真犯人だった!?


なんてことも、あったかもしれませんね。

 

飼育に際しては、どうやら、蜜源花だけでなく、

花粉源花の状況 についても、事前に調べておく必要がありそうです。

 

 

健康維持 は、 花 粉 』 だったんですね。





《 関連リンク 》


 ● 花粉団子

 ● 蜂パン


 ● ハチミツ

 ● ハチロウ

 ● 発熱

 ● どこまで飛ぶの?







花粉団子

花粉団子 を付けたワバチというのは、とても絵になります。

より一層、可愛さが引き立つような気がするのは私だけでしょうか。

 

5

 

 

でも、この花粉団子、どうやって作られているのでしょう?

 

花粉は、採餌蜂 と呼ばれる、

花蜜と花粉の採取を、専門に行う働き蜂によって集められています。

ただ、この採餌蜂には、

 

花蜜 を専門に採取するハチ。

花粉 を専門に採取するハチ。

花蜜 花粉 の両方を同時に採取するハチ。

 

と、3種類 が存在しているんです。

つまり、全ての採餌蜂が、花粉団子を作るわけではないということなんです。

 

通常、採餌蜂が花に向けて巣から飛び立つ前には、飛行燃料 として、

蜜胃ミツイ)と呼ばれる花蜜を貯める場所に、往復分のハチミツ を貯め込みます。

 

さらに、花粉を採取する採餌蜂は、この飛行燃料だけでなく、

何と、花粉団子を作るのに必要なハチミツも、プラス して持って行くんです。

 

賢いですね、ワバチって!!

 

では、花粉団子 が出来るまでの流れを、少し見ていきたいと思います。

 

 

・採餌蜂は、花(雄しべ)に体を擦り付け、全身の 体毛 に花粉を付着させていきます。

   → 実際には様々な形の花がありますので、花により、採取方法も変化させています。

       例えば、カナムグラは花を揺らして、花粉を体の上に落とします。(こちらを参照)

       臨機応変 に採取法を変え、さらにそれを学習できるのが、ワバチの凄い所です。

 

        image

       【 様々な花での花粉採取 】

 

 

・前肢、中肢、後肢にある「花粉ブラシ」を巧みに使い、体に付いた花粉を集めます。

   → 花粉ブラシ というのは、特殊なブラシ状(櫛状)の毛で、

       これを使うことで効率良く、体に付いた花粉をかき集めることが出来るんです。

       主に前肢では頭部、中肢では胸部、後肢では腹部に、付着した花粉を集めます。

 

        pollen brush

       【 花粉ブラシ (後肢の内側) 】:このようなブラシが前肢と中肢にもあります。

         この櫛状のブラシで、体に付いた花粉を濾し取っていきます。

 

 

・適宜、蜜胃からハチミツを少量吐き戻し、肢を湿らせます。

   花により、小さかったり、サラサラして粘性が無かったりする花粉もあります。

       こんな時は、持ってきたハチミツを少量吐き戻し、肢を 湿らせ 集め易くします。

 

        1

       【 ハチミツの吐き戻し 】:ハチミツを使い、花粉をまとめていきます。

 

 

・集めた花粉を、前肢 → 中肢 と送り、最終的に後肢にまとめていきます。

   各肢で集めた花粉は、最終的に 後肢 の花粉ブラシに、全て集められます。

 

・集めた花粉は後肢の「花粉圧縮器」と呼ばれる場所で濾し取られ、圧縮されます。

   後肢の花粉ブラシに集められた、体中の花粉は、

       花粉圧縮器 にあるブラシで、濾し取られ、圧縮されていきます。

       この圧縮によって、バラバラだった花粉が、締め固められることになるんです。

 

        image (2)

       【 花粉圧縮器 】:櫛状のブラシで、花粉を濾し取り、圧縮していきます。

 

 

・圧縮後は、後肢の「花粉バスケット」へ滑り込んでいき、花粉団子となります。

   右後肢の花粉ブラシに集まった花粉は、左肢の花粉圧縮器で濾しとり、

       左後肢の花粉ブラシに集まった花粉は、右肢の花粉圧縮器で濾しとる。

       これを、交互に繰り返すことで、徐々に花粉バスケットへ、花粉がたまり、

       花粉団子へと成長していきます。

 

 

packingsalix

 

 

   花粉バスケット の床は、ツルツルで滑り易く、その中央に、シングルヘアー

       と呼ばれる、ひょろ長い毛が1本あります。

       花粉圧縮器を経て、花粉バスケット内に滑り込んだ花粉は、バスケット内では、

       軽い回転が掛かる構造になっていて、この毛を中心に花粉がまとめられます。

 

        image (1)

       【 花粉バスケット 】:周りの毛に支えられるので、花粉団子は落ちません。

 

       シングルヘアー は、ちょうど串団子の串の役割を果たしていて、

       花粉団子を串刺しにしているイメージです。

       また、花粉バスケットの周囲には、内側にカールした長毛があり、

       これが周りから花粉玉を支え込んでいるので、落ちることはありません。

 

 

 

後肢

 

 

 

ここまでの、一連の作業 を繰り返すことで、

徐々に花粉の量が増え、団子状の玉 になっていきます。

 

biology_image3

【 花粉団子の成長過程 】

 

そして、花粉団子が大きくなってくると、

 

・中肢を巧みに使い、これをさらにペタペタ締め固め、整形も行っています。

   この際にも ハチミツ を吐き戻し、団子に付け加えながら強度を確保していきます。

       おにぎりを握る際に手でご飯を整形していきますが、ちょうどこれを

       中肢で行っているイメージです。

 

【 花粉団子が作られる様子 】:スロー映像です。(さらに、こちら も参照)

 

このように、花粉団子にする過程で、多量のハチミツ が混ざることになります。

つまり、花粉団子は、ハチミツ によって、固められているということなんですね。

 

以上のような流れで 花粉団子 が作られてゆきますが、

一連のこの作業は通常、花から花へ移動する際の ホバリング 中に行われています。

(花に足を引っかけながらであったり、葉っぱなどに止まって行うこともあります)

 

こちら はNHKさんの番組動画です。

私の説明などより、よっぽど良く分かりますので、ご参照下さい。

さすが、NHK!?

 

 

 

余談ですが、

前回書いたように、花粉団子には多くの栄養素が、バランス良く含まれていますが、

このことに目を付けた、人間は、

 

「 花粉団子は、健康や美容面に優れた効果や効能が期待できる 」

 

として、「 ビーポーレン 」などと称して販売されています。

能書きには、

 

ビーポーレンとは、ミツバチが、花粉を 酵素で固めた物・・・・。

 

などと謳われているものがあります。

確かに多量に含まれる、ハチミツ中には、酵素がありますので、嘘ではありませんが、

別に、酵素で固めているわけではありません・・・・・。

 

酵素の健康イメージにあやかって、無理に使っているのでしょうが、

このような文句を見ると、どうにも胡散臭さを感じてしまうのは私だけでしょうか・・・。





《 関連リンク 》

 ● 花 粉

 ● 蜂パン


 ● 蜜胃(ミツイ)!?

 ● カナムグラ







蜂パン

ワバチの主食は、ハチミツ花粉 です。

 

花蜜 は、ハチミツに加工することで、エネルギー効率 の良い燃料になるだけでなく、

防腐効果 をもたらし、長期の保存も可能にしています。

 

では、花粉の方は、加工していないのでしょうか?

 

花粉 は、ハチミツのような、積極的 加工は行っていないようです。

それは、花粉はあまり 貯蔵する必要がない ことと、関係がありそうです。

 

 

ここで、花粉団子が巣房に貯蔵されるまでを、見ていきたいと思います。

 

・花粉を採取する採餌蜂は、花粉団子を作り、巣へと持ち帰ります。

   採取蜂は、ハチミツを加えた 花粉団子 という形で、花粉を巣に持ち帰ります。

       花粉団子は、両足で計 30㎎ 位にもなるようですね。凄い!!

      (花粉団子は、こちらを参照)

 

・花粉団子は、採取した採餌蜂自らが、貯蔵巣房まで運びます。

   花蜜の場合は、巣門付近で 貯蜜蜂 に口移しで渡しますが、

       花粉の場合は、持ち帰った採餌蜂 自身 で、花粉の貯蔵巣房まで持って行きます。

 

・貯蔵巣房まで運ぶと、中肢の剛毛を使って、巣房内に花粉団子を落とし入れます。

   花粉貯蔵用の巣房へ行くと、団子の付いている、後肢 を巣房内に入れます。

       そして、中肢にある専用の 剛毛 を使い、花粉団子を巣房内に落とし入れるんです。

 

        image (1)

       【 中肢の剛毛 】:花粉団子を外すために使う、専用の毛です。

        蜜と花粉を集める蜂より)

 

 

・巣房に落とされた花粉団子は、貯蔵係の貯蔵蜂によって、押し込められます。

   待機していた花粉貯蔵蜂によって、花粉団子はある程度噛み砕かれます。

       この際に、少量の ハチミツ も加えられているようです。

       そして、頭を使って巣房内に、ギュギュッ と押し込んでいくんです。

 

 

hatipan

 

 

 

・押し込められた花粉は、地層のように何層にも積み重なります。

   様々な色の花粉団子が、何個も積み重なるので、その断面は、

       まるで、地層 のように見えるんです。

 

        image

       【 何層にも積み重ねられた花粉団子 】:この状態を 蜂パン と呼んでいます。

 

 

このようにして、花粉団子は巣房に貯蔵されていきますが、

この何層にも積み重ねられた状態の、貯蔵花粉のことを、 

 

 

「 蜂パン 」 Bee bread

 

 

と呼んでいます。

 

ワバチは、実際には、この 蜂パン を食べているということなんですね。

 

この蜂パンは、集める先から使われていきます。

基本的に花粉は、必要な時(特に育児期)に必要なだけ集められるので、

貯蔵期間は短く、長期に貯蔵 されることは 少ない んです。

せいぜい数週間、長くて1~2ヶ月といったところでしょうか。

 

ただ、長く巣房内に貯蔵される場合もあるので、ワバチは 一工夫!? をしています。

それは、

 

・蓋をすることでの防腐効果。

   長期貯蔵になる場合は、最後の花粉団子に多量のハチミツを加えて粘性を高め、

        念入りに押し付けて、としているんです。

        この蓋により酸素が入らず、酸素を好む 腐敗菌の活動を阻止 します。

 

・花粉に付く乳酸菌が作る、乳酸による防腐効果。

   → 花粉に付着している天然の植物性乳酸菌が、ハチミツ中の糖分を使って、

        乳酸発酵を行い、乳酸を作り出します。

        この乳酸は、pH(ペーハー)を下げ、蜂パンを酸性にする働きがあるんです。

        酸性下では、腐敗菌は活動できなくなります。

        因みにこの乳酸菌、味噌、醤油、漬物などにも含まれます。

 

・ワバチの体表にある、脂肪酸の混入による防腐効果。

   → ワバチの体表には脂肪酸が付いていて、接触によって蜂パンにも混入しています。

        この脂肪酸は、乳酸同様、酸なので、防腐効果があるようです。

 

貯蔵花粉内 では、このようなことが起こっているのですが、

これは、ワバチが積極的に講じている工夫とうよりも、結果そうなっている

と言った方がよいのかもしれません。

 

というのは、

ワバチにとって、花粉の長期保存は、特に メリットがない と思われるからです。

ある程度長期に貯蔵される蜂パンは、一部、発酵(半発酵!?)していますが、

 

これによって、花粉の栄養成分が変わることはありませんし、

幼虫の花粉消化を、助けているわけでもありません

 

つまり、熟成的な長期保存は、必ずしも必要としないようなのです。

確かに、熟成が必須なら、もっともっと花粉を集めているはずですよね。

 

さて、

花粉は、植物の 雄性の生殖細胞 です。人で云えば、精子に当たるものですね。

植物細胞には 細胞壁 があるのが特徴ですが、

 

この細胞壁、花粉 にもあるんです。

 

花粉の外殻に当たる、細胞壁は、花粉壁 と呼ばれていて、

非常に硬い スポロポレニン という物質が含まれています。

 

Beepollen

【 様々な花粉粒 】:植物により形は異なりますが、固い殻で覆われています。

 

実は、この固い物質、ワバチには(人にも)消化できない んです。

実際、ワバチの糞を調べると、花粉の殻が消化されずに残っています。

 

ここで、一つ疑問が湧きます。

 

殻を消化できないのに、どうやって栄養素を吸収しているの?

 

それは、浸透圧 を利用しているんです。(余談を参照)

 

実は、花粉には、花粉孔 と呼ばれる小さな穴がたくさん開いていて、

この穴から、浸透圧によって栄養素が 花粉の外 に染み出てくるんです。

 

花粉壁)は消化できなくても、栄養素を取り出すことは出来るんですね。

ちなみに、これは人でも同じなんです。

 

 

蜂パン(花粉)は、ワバチにとっては、体を作るために必要な、

 

唯一の タンパク源

 

ですが、これが無くなると、

ローヤルゼリーが造り出せないため、女王蜂の産卵が止まり、

幼虫の餌も途絶えるので、新たに働き蜂が生まれてこなくなります。

 

つまり、ワバチにとって 花粉不足死活問題 なんです。



『  蜂パン は、ハチミツ よりも 重要!? 



な食糧、と言えるかもしれませんね。

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

余談ですが・・・・・、

 

浸透圧について

浸透圧 という言葉は、良く聞くと思います。

 

これは、濃度の異なる、2つの溶液があった場合、

濃度の低い溶液(低張液)は、高い溶液(高張液)に移動しようとする性質のことで、

浸透圧というのは、この移動時に掛かる 圧力 のことなんです。

 

花粉の栄養素は、腸内 で吸収されます。

花粉内の栄養素(栄養液)は、浸透圧によって に出てきますが、

 

 

花粉浸透圧

 

 

 

これは、栄養液よりも、腸内の濃度の方が 高い濃い)ということで、

 

栄養液低張液が、浸透圧により、

腸   内高張液へ吸い出される形になるわけです。

 

 

花粉の吸収過程0

 

 

つまり、花粉内 から 花粉外 へ圧力(浸透圧)が掛かるために、

中の栄養素が、外に出てくるということなんです。





《 関連リンク 》

 ● 花 粉

 ● 花粉団子







プロフィール

やっこ

Author:やっこ
ニホンミツバチに関する様々なことを、
気ままに思いつくまま書いてます。
可愛く癒されるワバチの魅力を、たくさん発見したいと思っています。

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