スムシ(その1)

この虫、

ワバチの 天敵 として、多くの飼育者の間で 目の敵 にされている虫なんです。

 

本当に嫌われていて、諸悪の根源 のように思われている節もあります・・・・。

 

ワバチ飼育者で、この虫を知らない人はいないはずですが、

図鑑で調べても、「 スムシ 」なんていう名前の虫は見つかりません。

 

それもそのはず、この虫の正式名称は、

 

「ハチノスツヅリガ」・「ウスグロツヅリガ」

 

という名前の 蛾の幼虫 なんです。

(以前、この蛾は ハチミツガ と呼ばれていました。)

 

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【 スムシ 】:写真左下が ハチノスツヅリガ成虫、右下が ウスグロツヅリガ成虫

 

巣に付く虫なので、通称、

 

「 スムシ 」

 

と呼ばれています。

 

この虫、どっかで見たことがあるぞ!! と思った方は、

釣りをやられている方、或いはハ虫類などを飼育されている方かも知れません。

 

通称「 ブドウムシ 」・「 ハニーワーム 」などの名前で、

釣餌や、ハ虫類などのペット用の餌として、売られていたりします。

 

この虫、人工飼料で簡単に大量飼育が出来てしまうようで、

実験用の虫として、世界的にもよく知られているのだそうです。

アメリカでは巣を食い荒らすので 「 ワックス・ワーム 」 とも呼ばれていたりします。

 

さて、この虫、単なる蛾の幼虫なのですが、

これが、ワバチの巣に寄生して大変な悪さをする。 とされています。

 

実際、このスムシの大繁殖した巣の中は、

巣板が食い荒らされ、めちゃくちゃ にされてしまいます。

これが原因で、逃去(お引越し)してしまうこともあるんです。

 

この為、飼育者は、

このスムシを、こぞって 悪者扱い し、その対策に躍起になっているようです。

斯く云う私も、この虫には泣かされた経験があります・・・・。


 でもこのスムシって、本当に悪者なんでしょうか?

 

孫子曰く、

 

「  敵(スムシ)を知り、己(ワバチ)を知れば、百戦危うからず 」

 

そもそも戦うべき相手なのか!? も含め、

その生態を知れば、真実が見えてくるような気がします。

 

 

次回は、このスムシの実態について、少し書いてみたいと思います。





《 関連リンク 》

 ● スムシ(その2)

 ● スムシ(その3)

 ● スムシ(その4)

 ● スムシ(その5)

 ● スムシ(その6)







スムシ(その2)

多くのワバチ飼育者に、忌み嫌われる スムシ ですが、

その 実態 について、少し見ていきたいと思います。

 

ミツバチに悪さをする、スムシ(蛾の幼虫3種類 知られています。

この蛾たちは、巣板の蝋を消化したり、超音波で交信も出来たりするそうです。

凄いですね・・・。

 

ハチノスツヅリガ(Galleria mellonella)

ハチノスツヅリガ

  ※ ヨウバチにも付きます

 

 

ウスグロツヅリガ(achroia innotata)

ウスグロツヅロガ

 

ワバチに悪さをするのは、以上の 2種 と言われていますが、

実は、これに加えてもう1種類、ヨウバチに付くスムシがいます。

 

コハチノスツヅリガ(achroia grisella)

Achroia_grisella_(Fabricius,_1794)-12mm

 

コハチノスツヅリガ という名前ですが、

ワバチに付く、ウスグロツヅリガ にそっくりですね・・・・。

学名を見ると、同じ属のようですが、こちらの方が、明るい黄褐色のようです。

 

この蛾は、繁殖力は強いようですが、ワバチには付かないと言われています。

また、国内では、人為的な環境下でしか見つかっていない ともされています。

 

これ、本当でしょうか?

 

もしかしたら、既に日本で大繁殖していて、

3種が混在する形で、ワバチの巣に入り込んでいる可能性も十分考えられます・・・。

 

 

さて、ワバチに悪さをするとされる 2種 に絞って見ていきます。

 

昔の 文献 では、

野生の 自然巣 に住み着いているのは ウスグロツヅリガ である。

としています。しかし、

 

私の 自然巣観察 では、ハチノスツヅリガ も大いに見られますし、

飼育巣箱 では、むしろこちらの方が 多い、とさえ言える気がします。

 

 

これは、どういうことなのでしょう?

 

ハチノスツヅリガ は、元々 ヨウバチ に付いて日本に入って来た蛾だと思われ、

養蜂の拡大と共に生息域を広げ、ワバチの巣へも侵入するようになったと考えられます。

 

つまり、昔から生息していたのは、ウスグロツヅリガ の方で、

ハチノスツヅリガ は、新たに現れた 外来種!? と考えられるのです。

 

拡散は、釣り餌やペット用の餌として、この蛾を個人で飼育する方もいたりして、

成虫まで育った蛾が逃げ出すことでも、この一助となっているのかもしれません。

(販売されているものは、特殊な処理により成虫にならないそうです)

 

ここで認識しなければならないのは、

この2種は の大きさも、与える 被害 の程度も違うという点です。

 

ハチノスツヅリガ は、

一回の産卵数が多く、幼虫の体も大型で、群れる習性があるようです。

 

ワバチの勢力が強い時は撃退されますが、弱まって くると、

体の大きさとも相まって、被害がより大きくなる傾向にあります。

 

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ハチノスツヅリガの若齢幼虫 】:体色は白み掛かっていて、最終的に7齢になります。

 

この ハチノスツヅリガ が厄介なのは、

ウスグロツヅリガ幼虫 より 3倍 も大きく、その分、被害も 大きい という点です。

 

 

一方、小型の ウスグロツヅリガ は、

多くは巣底に落ちている巣屑に 紛れて 生息しているようです。

もちろん、こちらも、ワバチの勢力が 弱くなる と巣に悪さをします。

 

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ウスグロツヅリガの若齢幼虫 】:体色は少し茶色掛かっています。

   写真右下に見えるのは、トウヨウミツバチホコリダニ でしょうか?

 

2年間 放置 した自然巣での観察実験では、

巣屑の堆積は無く、繭糸で作ったトンネル以外は きれいな 状態だったということです。

 

つまり、巣の 掃除屋さん の役目を果たしていたということです。

これって、むしろ 共生!? に近い関係とも言えますね。

 

ウスグロツヅリガ は、ワバチとの長い付き合いの中で、

共生 の道を見つけたのかもしれません。

つまり、この蛾は、あまり被害を 与えない ということです。

 

実際には、この2種 (3種!?) が巣内で 混在 していると考えられますが、

スムシ被害で大きな問題になるのは、

 

どうやら、ハチノスツヅリガ幼虫 のようですね。

 

 

次回は、この ハチノスツヅリガ の生態を中心に書いてみたいと思います。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

余談ですが・・・・・、

ハチノスツヅリガについての仮説です。

 

実は、ヨウバチはこのハチノスツヅリガ幼虫に対して 抵抗性 を持っていて、

ほとんど被害は無いようなのです。

 

一方、ワバチは抵抗性が 低く、甚大な被害を受けます。

 

この理由は、ハチノスツヅリガが 外来種 であるため、

未知の敵であるこの蛾に、対応できない からだ と個人的には考えています。

 

・ワバチに無くて、ヨウバチにある。

・ヨウバチに無くて、ワバチにある。

 

このような外敵に対する抵抗性の違いは、他にも見られます。

共にアジア起源の オオスズメバチミツバチへギイタダニ は、

ヨウバチには甚大な被害を与える 天敵 です。

 

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【 ヨウバチの天敵 】:左がオオスズメバチ、右がミツバチへギイタダニ

 

しかし、ワバチを含めた、

 トウヨウミツバチ では抵抗性があり、対抗手段も身に付けています。

これは、共に歩んだ歴史 があるからです。

 

また、ヨウバチの 盗蜜行動 に対する、ワバチの 無抵抗性 も同じ例だと考えられます。

 

盗蜜とは他巣のハチミツを盗み取ることですが、

ヨウバチが蜜を盗みに巣に入り込んでも、ワバチは、ほぼ 無抵抗でなすがままなんです。

 

ヨウバチに出会って、たかだか 140年

この短期間では、対抗手段を身に付けられていなくても、何の不思議もありません。

 

あくまでも、仮説ですが、このように考えると全てが 腑に落ちる んです。





《 関連リンク 》

 ● スムシ(その1)

 ● スムシ(その3)

 ● スムシ(その4)

 ● スムシ(その5)

 ● スムシ(その6)







スムシ(その3)

ワバチの巣を食い荒らし、被害を与える とされる 2種 のスムシですが、

どうやら、ハチノスツヅリガ幼虫 の方がより被害が大きいようです。

 

この ハチノスツヅリガ の生態 は、どのようになっているのでしょう。

 

この蛾は、主に 5~10月 にかけて活動しているようです。

特に 夏場 に活発に活動し、産卵するようで、

実際、スムシ被害が多いのも、特に 7~8月 の暑い時期です。

 

匂いを頼りにワバチの巣を探し当てるのですが、見つけ出すと、

昼間は巣の近くでじっとしていて、

夜間夕方から朝にかけて) に 巣門から侵入 し産卵をします。

 

巣箱の場合は、

底板や横板、板の継ぎ目などの目立たない場所に産み付けられます。

 

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【 ハチノスツヅリガの産卵の様子 】:(無印さかなより)

 

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【 ハチノスツヅリガの卵 】:(無印さかなより)

この一塊に50~200の卵が存在し、この卵塊を数ヶ所に産み付けます。

 

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【 ウスグロツズリガ?の卵 】:恐らくウスグロツヅリガの卵です(山のツバルより)

 

ハチノスツヅリガ の卵は、

50~200個 を一塊として、産み付けられていきます。

最大でこの卵塊が10ヵ所、計 2000個弱 は産みつけられるようです。

 

因みに コハチノスツヅリガ は、一塊が 20個 ほどのようです。

同属の ウスグロツヅリガ も同じだとすると、1/10 の産卵数ということになりますね。

 

実は、この産み付けられた卵の孵化は、気温 に大きく左右されるようです。

 

・25℃前後の 高温下 では、5~8日 で孵化し、幼虫になります。

低温下 では、孵化に 1ヶ月以上 掛かるようです。

 

孵化した幼虫は、集団で食べ物を求めて動き始めます。

巣底に 巣屑 があると、これが 食料 になるため、この中に入って行きます。

 

一方、食料を求めて 巣板 に向かう者もいます。

ワバチの蜂数が多く、監視体制が万全な状態であれば、ここで 駆除 されますが、

勢いが衰え、蜂数が少ない と、侵入され 食害 を受けることになるのです。

 

ワバチ飼育者の多くが、躍起になって巣底の巣屑を 掃除 されているようですが、

全く巣屑が無いと、全ての幼虫が巣板に向ってしまいます・・・・。

 

つまり、逆効果 になっている可能性もあるということです。

ワバチはわざと巣屑を落として、侵入させまいとしている としたら・・・・!?

常にきれいな状態にしておくのも、考えようですね。

 

また、孵化後の幼虫も、気温 により大きく成長速度が変わります。

幼虫は脱皮を繰り返して大きくなっていきますが、

 

・30℃の 高温下 ではサナギまでに、僅か 4週間 程しか掛かりません。

低温下 では、サナギになるまで、最長 5ヶ月 も掛かるようです。

 

成長が早いということは、

それだけ活発に動き回って、食害 しているということで、

夏場の暑い時期に、あっと言う間にやられてしまうのは、この為なんです。

 

このスムシは、ワバチの倍以上の大きさに成長するので、

一旦大きくなると、ワバチには、もう手も足も出なくなってしまうんです・・・・。

 

image

【 ハチノスツヅリガの成長過程 】:幼虫は左から右へと成長していきます。

 

幼虫は、繭を作ってサナギになりますが、冬はこのサナギのまま 越冬 します。

ただ、暖地では、冬の間に羽化してしまい、冬でもスムシが絶えないようです。

 

捕まえた サナギ を観察しようと思い、一度、家に放置したことがあります。

一晩明けて見てみると、既に羽化した後でした・・・・。

気温が高いと羽化するスピードも 速い ようですね。

 

どうやら、夏場 はスムシが大暴れする季節のようです。

 

次回は、スムシ被害の実態について、少し書いてみたいと思います。





《 関連リンク 》

 ● スムシ(その1)

 ● スムシ(その2)

 ● スムシ(その4)

 ● スムシ(その5)

 ● スムシ(その6)







スムシ(その4)

ワバチの 天敵 とされる スムシ ですが、

この 食害 に遭うと、ワバチの巣は 大きな ダメージ を受けます。

 

ワバチの幼虫は、その成長過程で、

脱皮殻 や、食べ残しの 花粉 などを、巣房の中に溜めていきます。

 

育児に使用された後の、巣房の中を見ると、

この 堆積物 によって 黒く 変色しているのが分かります。

 

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【 巣房底の堆積物 】:巣房の底に溜まっていて、黒く見えます。

 

スムシは、実はこの 堆積物花粉 を、

主に 食料 としていて、これを食べながら大きくなっているんです。

言い換えると、スムシは 主に、育児歴のある巣房 にしか付かないとも言えます。

 

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【 巣房内の堆積物 】:黒く見えるのは堆積物です。これが巣板の強度も高めます。

 

スムシは、食べ物を求めて、巣房の を食い破りながら 縦横無尽 に探し回るため、

通った後の巣板は ボロボロ になってしまいます・・・・・。

 

まだ、小さいうちは、ワバチは大顎でこれを捕まえ、駆除できるのですが、

スムシもさる者、巣房の で穴を開けながら侵攻するため、なかなか捕まりません。

 

さらに、通った後に 繭糸 を掛けて トンネル を作り、防御壁 とするんです。

そして、トンネルだけでなく、繭糸を使って、何と巣房に をしてしまいます・・・。

 

蓋

【 巣房に蓋をするスムシ 】:防御の為、繭糸を使って蓋をします。

 

【 巣板を食害するスムシの様子 】:白く小さく動くのは、トウヨウミツバチホコリダニ だと思われます。

 

悔しいですが、賢いやつですね、スムシって・・・。

 

100歩譲って、ここまでならまだ許せる!? のですが、

何と、育児中の 幼虫サナギ の巣房にまで、堆積物 を求めて侵入して来るんです。

これにより、次のことが起こります。

 

・幼虫を齧り殺され、蜂児捨て となります。 
    5

    【 蜂児捨て 】:頭を齧られ死んでしまったため、捨てられた蛹

 

・繭糸が原因で、奇形蜂児 が生まれてきます。

    奇形蜂児

    【 奇形蜂児 】:繭糸が絡まり翅が奇形になった蜂児 (肢は齧られ・・・)

 

・繭糸に絡まって、出房出来ない 蜂児が出ます。

    不出房

    【 出房出来ない蜂児 】:繭糸が体に絡まり、出てこれません・・・。

 

スムシ侵入により、

存続の 絶対条件 である 次世代の産出 が、脅かされる状況に陥るのです。

 

一方、ワバチも、やられるがまま、黙っているわけではありません。

ボロボロになった巣板を 齧り落とし、被害が拡大しないよう 対処 するんです。

 

ボロボロ

【 食害部分を齧り落とした後 】:齧り落として被害の拡大を阻止します。

   食害を受けたため、その部分を齧り落とし、穴が開いています。

   よく見ると、堆積物の少ないきれいな巣房は食害されていないことが分かります。

 

【 食害部分を齧り落とした後の様子 】:これは逃去後で、スムシが蠢いています。

 

このように、食害に対処する方法を、身に付けてはいるのですが、

夏場はスムシの成長速度に 追いつかず、結局好き放題やられてしまうのです。

 

特に 外来種!?ハチノスツヅリガ幼虫 は、体も大きくなるのでお手上げなんです。

後はもうスムシの やりたい放題・・・・。

 

逃去後

【 食害された巣板 】:スムシの糞で真っ黒になり、見る影もありません。

 

こうなると、ワバチは巣を諦め、逃去(お引越し)を余儀なくされてしまうんです。

逃去後は、巣板に残る堆積物を食べ尽くし、繭玉 を作ってその中で になります。

そして羽化すると、また他の巣を求めて飛び立つことになるんです。

(ちなみに、成虫になってからの寿命は、3週間程です)

 

image

【 巣内に出来た繭玉 】:終齢幼虫は繭玉を作り、その中で蛹になります。

   写真左下が繭玉を割ってみたところ、右下は ハチノスツヅリガ 終齢幼虫。

 

このように、ワバチに悪さをしている スムシ ですが、

自然巣を観察し続けていると、かなりの巣板が残っていたと考えられる物件でも、

消滅した翌春には、必ずその巣への入居があります。

 

image

【 スムシ放置の結果 】:スムシを放置した結果、巣板はきれい!? になりました。

   スムシにより逃去した巣板を、7月から翌3月までの約8ヵ月程放置してみました。

   写真左が、右のようになります。育児歴のある巣房はきれいに無くなっていました。

   写真右下は、巣底。トンネルと糞は落ちていましたが、巣屑はありませんでした。

   そして、巣箱に穴は開けられていませんでした。

   食料が豊富にあると、板を齧ることもしないようです。

 

このように、スムシは、結果的 に、

逃去後の空き物件(巣)をきれいにする、お掃除屋さん になってくれているんです。

自然界では、このお蔭で、新たなワバチ達が翌春、入居出来るというわけです。

 

一概に、悪者 とも言えないということなんですね。

 

ただ、そうは云っても、逃去後のあの 無残 な巣板を見てしまうと・・・・。

巣虫は悪者ではない、などとは到底思えないのが 人情 というものです。

 

いったい、このスムシ、どう対すれば良いのでしょう?

 

 

次回は、スムシの対処法について、書いてみたいと思います。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

余談ですが・・・・・、

スムシの食べ物について。

 

「 スムシは、蜜ろう(巣板)や ハチミツ を食べて大きくなる。」

 

一部このような 誤認 が広まっているようです。

 

被害を受けた後の巣板を見ると、

一見、蜜ろうが食べられているようにも見えるのですが、これは、

巣房の奥に溜まった、堆積物 を探し回る過程で 食い破って いるだけなのです。

 

また、ハチミツの巣房が破られるのも、

その下のにある、堆積物 を求めた結果でしかありません。

 

蜜巣(ハチミツが入った巣板)だけで、スムシを育てようとしても、

育たなかった、という実験結果があります。

つまり、純粋な 蜜ろうとハチミツ では、スムシは 育たない ということです。

 

上の 【 食害部分を齧り落とした後 】の写真を見ても分かるように、

育児歴のない、きれいな巣房には全く被害がありません。

この事からも、スムシの食べ物が、蜜ろうではないことが分かります。

 

また、スムシは、巣箱の板も齧って穴を開け、ボロボロにしてしまいますが、

これも食べているわけではありません。

暗く狭い所に入り込みたがる習性があるようで、食べ物が少ない時は、齧って穴を開け、その穴でじっとしているようです。

 

ただ、周囲に蜜ろうしかない場合は、これを食べているようです。

スムシは蜜ろうを消化できるので、タンパク源にはならずとも、非常食にはなるのかもしれません。






最終更新日:2015.01.08



《 関連リンク 》

 ● スムシ(その1)

 ● スムシ(その2)

 ● スムシ(その3)

 ● スムシ(その5)

 ● スムシ(その6)






スムシ(その5)

世の中には、様々な スムシ対策 が存在するようです。

ここでは、その 方法 を幾つかご紹介したいと思います。

 

 

ちょっと待った

 

 

対処法には、大別すると 2通り あります。

 

・物理的に侵入を防ぐ方法。

・侵入されたスムシを減らす方法。

 

この2通りです。

 

 

蛾の侵入を防ぐ方法としては、

・夜間に侵入するので、夜の間だけ巣門を閉じてしまう。

   → あまり、現実的ではありませんね・・・。

 

・高い場所で飼育する。

   → ビルの屋上などの高所では、スムシは飛んでこれないため、

       入らないという話を聞いたことがあります。

     (真偽は定かではありません・・・)

 

・スムシ捕獲器を使用する(市販品があります)

   → 完全に侵入を阻止することは出来ないようです。

       蛾は1匹で最大千単位の卵を産み付けますので、完全阻止が出来ないのなら、

       これを付けても、あまり意味が無いようにも感じてしまいます・・・。

 

・巣門を狭めて、警護しやすくする。

   → ハチが一匹だけ出入りできる大きさの巣門(直径5mm位)を、1ヶ所のみ作り、

       門番蜂が警護しやすいようにする、という方法です。

       一定の効果はあると思われますが、蛾は、警護が手薄になるに侵入しますので、

       完全阻止は難しいのではないかと思われます。

       それよりも、巣門を少なく小さくすることで、活動の効率が落ちてしまい、

       ワバチの生活にとっては、かえって デメリット の方が大きい気がします・・・。

 

       尚、ただ単に、

       蛾が入れない大きさまで巣門を狭くするだけで良い のでは??

       と思われるかもしれませんが、入れなくなるくらい狭めてしまうと、

       ワバチも出入り出来なくなってしまいます・・・・。

 

以上、こんな所でしょうか。

 

高所設置 がもし有効であれば、とても 効果的 な方法だと思います。

ただ、こんなことが出来るのはごく限られた方だけでしょう・・・・。

 

もし、蛾だけに有効な、忌避物質 が開発されれば、

或いは、この蛾は 超音波 を感知するので、嫌がる 周波数 の音が分かれば、

晴れてスムシ問題も 解決 ですね。

 

 

侵入されたスムシを減らす方法としては、

・定期的に巣の底に溜まった巣屑を掃除する。

   → スムシの溜まり場の排除により、数を減らしてしまおうという方法です。

       スムシが巣屑に集まるのは、そこに食べ物や隠れ場所があるからです。

       隠れ家や食べ物を失ってしまった、残りのスムシは、板を齧り出したり、

       大挙して巣板に押し寄せると考えられます。

       かえって、逆効果!? になっている可能性もあります。

       かといって、放置すると大きくなり、やがて強敵としてやって来ることも・・・。

 

・夏場は巣底を網にする。(これは暑さ対策も兼ねられます)

   → 巣屑を溜まり難くすることで、住み着かないようにしようとするものです。

       これも前述同様、スムシ対策としては逆効果のような気もします。

 

・巣箱の底板を外し、直接土の上に置く。

   → 土の中の微生物に、食料となる巣屑を分解してもらおうとするものです。

       私の観察では食べ物が少なくなると、板を齧って穴を開け出すようです。

       元々、暗く狭い所に入りたがる性質を持っているようですが、

       食料が分解され、無くなることで、土の中にも入り込んで行くと考えられます。

       巣箱に穴を開けられなくなる効果はあると思いますが、前述の如しです。

 

・巣箱の底板と巣箱本体を少し離す。

   → 物を挟み底板から浮かすことで、スムシの這い上りを阻止しようとするものです。

       下に落とされたスムシが、上に登れないので、非常に効果的だと思います。

       ただ、蛾の侵入が容易になるため、産卵され放題!? になるのと、

       やはり、食料が巣板だけになるので、前述のリスクはあると思われます。

 

・ダンボールを巣の底に入れ、置いておく。

   → 暗く狭所に入る習性を利用して、一網打尽にしてしまおうとする方法です。

       個人的には、これが最も理に適った方法であると思っています。

 

・ハチノスツヅリガ食害防止剤(B-401)を使用する。こちらを参照)

   → イギリスで開発されたバイオ駆除法で、アメリカでは30年の実績があります。

       ハチにも人にも無害、とされている優れもののようです。ただ、これは元々、

       ヨウバチ用の単枠巣礎を 保管 する際の、食害防止用に開発されたもので、

       ワバチ生存群内での使用効果は、ハチに与える影響も含め未知数です。

 

・変わったところでは、寄生蜂の利用があります。

   → 実は、スムシに寄生する、スムシヒメコマユバチ というハチがいて、

       これを寄生させることで、スムシを駆除してしまおうというものです。

       実際にやっている方がいるかは不明ですが、

       そもそも、この寄生蜂の繁殖から手がける必要があり、現実的ではありません。

      (このスムシヒメコマユバチについては、改めて別の機会に書こうと思います。)

 

以上、こんな所でしょうか。

これ以外にも、スムシ予防法 として、

 

・巣箱に熱湯をかける、バーナーで焼く。

・巣箱の冷凍処理。

・巣箱を水に長時間浸漬させる。

 

など、巣箱についているスムシを 完全排除 してしまおうとする方法もあります。

 

スムシ対策として知られているのは、上記のようなものが主になるでしょうか。

その効果について、少し否定的に書いているところもありますが、

効果が全くない、と言っているわけでは、決してありません。

 

ただ、これらはあくまでも、

 

「 この憎たらしいスムシをどうしてくれよう  」

 

という発想で行われる、云わば 対症療法 です。

つまり、

 

「 スムシ食害が起こるのは、スムシのせいだ。」

 

という 前提 の元に、行われる対策だということです。

 

 

でも、本当に食害の真の原因は、スムシの存在なのでしょうか?

そもそも、スムシ食害にあう、一番の原因は何なのでしょうか?

 

 

次回は、この辺りについて、考えてみたいと思います。






(最終更新日:2015.03.01)


《 関連リンク 》

 ● スムシ(その1)

 ● スムシ(その2)

 ● スムシ(その3)

 ● スムシ(その4)

 ● スムシ(その6)






スムシ(その6)

「 スムシに、決定的に有効な対策は無い 」

 

 

一部、世間ではこう言われているようです。

 

これ、本当でしょうか?

 

結論から書きますと、一応『 ある 』と思っています。

ここまで、数回に渡って、散々スムシについて書いてきましたが、

実は、個人的には、

 

直接的なスムシ対策は 「 不要 」 と考えています。

 

私は、自然巣のワバチたちに学んだ、環境作りはしていますが、

スムシ対策は、特に何もしていません・・・。

 

健全 な状態で、巣板を覆い尽くせる 蜂数 が存在していれば、

特に何も起こらないからです。

 

 

「 スムシに最も有効な対策は、強勢群に保つこと 」

 

 

言い換えれば、

 

「 スムシ対策 」 = 「 強群(健康) 維持対策 」

 

ということだと思っています。

 

 

ここで、

スムシに侵入されるまでの 過程 を、少し見ていきたいと思います。

 

ワバチは、自ら作り上げた、巣板の上で生活をしています。

通常、自分たちで 覆える 大きさ以上に、巣板を大きくすることはありません。

 

6[1]

【 正常な巣 】:通常は、ハチが覆っていて、巣板が見えません。

 

蜂数以上に巣板を大きくしないのは、

巣の管理、特に育児に不可欠な、温度管理 に支障をきたすからなんです。

もちろん、スムシの 食害 から、巣板を守れなくなるからでもあります。

(温度管理については、こちらを参照)

 

順調に蜂数が増え続けるうちは、どんどん巣板を大きくしていきます。

ただ、何らかの原因により、急激 に蜂の数が減ってしまうことがあるんです。

 

・蜜・花粉源花が不足して、食べ物が手に入らなくなった。

・分蜂によって、急激な蜂数の減少があった。

・女王蜂が不調・不在になった。

・ウィルスやダニなどにより、病気に掛かった。

・人の過干渉(内検など)により、高ストレスを受けた。

 

このような理由により、蜂数を 減らす ことがあるんです。

この結果、巣板を覆うことが出来なくなり、

今まで管理できていた 巣板の防御 も、後手に回ることになってしまうのです。

 

異常

【 異常な巣 】:ハチが減ることで巣板が露出していきます。

   巣板が目視できてしまうようになると、特に夏場はやばいんです。

   暑さ対策(こちらを参照)の為に、巣板を離れている場合は別です。

 

 

そして、スムシがやって来ます・・・・。

 

寒い季節は、スムシの成長速度が 遅い ため、何とか撃退できる場合もあるのですが、

25℃を超えるような 夏場 になると、防御がスムシの成長に追いつかなくなります。

 

特に ハチノスツヅリガ の幼虫は、夏場、孵化して 2週間 もすれば、

ワバチ 以上 の体格になり、撃退することが出来なくなるんです。

 

こうして、巣が荒らされていき、育児も出来なくなることで、

逃去(お引越し)、或いは消滅に至るのです。

 

このように、

 

巣板の面積に対して、蜂数が少なくなる

 

ことで、スムシ食害の リスク が、高まることになります。

 

つまり、蜂数を減らさないように努めることで、

スムシ問題は 解決 するということなんです。

 

 

パンチ

 

 

例えば、

スムシは、風邪で云う、ウィルス だとイメージすれば分かり易いかもしれません。

風邪のウィルスは、そこらじゅうに 存在 しています。

 

そして、これを全て 排除 することは、まず 不可能 です。

健康で抵抗力があれば、体に入ったウィルスを撃退できますが、

体力が落ち抵抗力が弱くなると、風邪を引いてしまいます。

 

風邪を引いた原因は、ウィルスではなく、実は 抵抗力の低下 の方なんです。

もちろん、マスク をして、ウィルスが入り込まないようにするという、

 

「 対症療法 」

 

も応急処置としては、必要ですが、栄養あるものを食べて体力を付け、

免疫力を上げることで、自らの力で、ウィルスを退ける という、

 

「 原因療法 」

 

これこそが、最も大切であり、完治への近道ではないかと思うのです。

スムシ食害は主に「 群の弱体化 」によって起こると言われています。

 

何故、弱体化したのか?

 

この原因こそが 真犯人 で、

これを突き止め、解決しなければ、仮にスムシを駆除できたとしても、

またすぐに、違う問題が生じ、早晩 消滅 の道を辿るということなんです。

 

さらに言えば、食害にあうような状態は、多くの場合、既に末期で、

別にスムシが居ようが、居まいが 関係なく、遅かれ早かれ逃去・消滅してしまうんです。

 

この事に気づいた時、私はスムシ対策を止めてしまいました。

直接的なスムシ対策にこだわっているうちは、何も解決しないと気付いたんです。

 

 

「 そんなことは百も承知だよ、でもね・・・・。」

 

というお声が聞こえてきそうな気もしますが、

そうなんです、

 

「 強勢群に保てば良い 」

 

簡単に書きましたが、実はこれこそが、難題 なんです。

私などは、この方法がよく分かっていません・・・・。

 

これが出来ないから、目先 のスムシ対策に走る。

これが、実情 なのだと思います。

 

単枠式巣箱 の場合は、近代養蜂の技術を 駆使 することで、

それも容易かもしれません。

 

私は、旧式養蜂の 重箱式 を使用していますが、この巣箱、

基本的に、何とも操作の仕様がありません・・・・。(する気もないのですが・・・。)

 

単枠式以外で、強勢群に保ち続けるのは、

なかなかに難しいのが 現実 ではないでしょうか?

 

私のような、専門的な養蜂技術を持たない、ど素人 でも、

重箱式巣箱 は、簡単に飼育できてしまいます。

 

恐らく、ワバチの飼育では、圧倒的に 重箱式横胴式 といった、

単枠式巣箱 以外 の飼育者が多いはずです。

 

ということは、

恐らく、強群に保ち続けられないワバチ群が、非常に 多い ということでしょう。

スムシ被害の声、この 数の多さが 、それを物語っている気がします。

 

目に見えるスムシは、安易に犯人にされがちですが、

スムシ真犯人説 が、広く蔓延する背景には、

強群維持の難しさ、という 実情 があるのではないかと秘かに考えています。

 

私は、スムシは冤罪!? だと思っていますので、

無駄と思われる対症療法は、前述の通り特に何もしていません。

これからも、やるつもりはありません。

 

そんなことよりも、

健康で、蜂数維持の出来る飼育環境とは、どういうものなのか?

これを、模索し、追求していくだけです。

 

ただ、このブログを書いていて、ふと思いついたことがあります。

例えば、

 

・分蜂終了後の、元巣の群であったり、

・事故によって、蜂数を減らした群であったり、

・保護捕獲した、弱小群であったり、

 

健康ではあっても、すぐに強勢群に、仕立てられず、

このままでは、明らかにスムシにやられてしまうと分かっている場合、

今までは、これも 運命 と半ば諦めていました。

 

でも今回、重箱式でも、何とかしてやれるかもしれないぞ!!

閃いた のです。

 

その名も スムシホイホイ

 

いくら防いでも、スムシは入り込みます。

常に スムシは、ワバチの巣内に 存在 しているものと考えるべきでしょう。

 

であるならば、巣板の堆積物よりも、魅力的な餌 を用意することで、

一網打尽 に出来ないでしょうか?

 

排除ではなく取込む、押してもダメなら引いてみろ 的な 逆転の発想 です。

 

最も近いのが前回書いた、ダンボール対策一望千里より) です。

 

これだけでもいいのかもしれませんが、さらにこれを応用することで、

応急処置的な対策 に、なり得るかもしれない、と思っています。

 

スムシ(ハチノスツヅリガ)は、飼育されていますので、

ハニーワーム で検索すると、魅力的な餌作りのヒントが得られます。

 

これがワバチに与える影響についても 考慮 しなければなりませんが、

今後、色々考えてみたいと思っています。

 

興味がおありでしたら、是非、このアイディアを形になさってみて下さい。

上手くいくようでしたら、どうぞ、私にもご教授下さい。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

余談ですが、

スムシをイメージすると・・・・。

 

ウスグロツヅリガ は、少し腹黒な居候。

 

この蛾の幼虫は、居候させてもら代わりに、巣底をきれいに掃除しています。

引っ越して居なくなれば、後片付けをして、次の入居者が入れる状態にもしてくれます。

ただ、家主が隙を見せると、食べ物を盗みに入って、食べ散らかそうとします。

 

気の弱く、少し腹黒(うすぐろ!?)な居候のイメージです。

 

 

ハチノスツヅリガ は、ちょっと危険な同居人。

 

この蛾の幼虫は、いつも家主を追い落とそうと狙っているようです。

隙を見せると、すぐ付け込まれます。

厄介なのは、この同居人が家主より強いことです。

残念なことに、家主は追い出す方法をまだ知りません・・・・。

 

気が強く、ちょっと危険な同居人のイメージです。

 

 

こんな風に考えるのは、私だけでしょうか・・・・。





《 関連リンク 》

 ● スムシ(その1)

 ● スムシ(その2)

 ● スムシ(その3)

 ● スムシ(その4)

 ● スムシ(その5)


 ● エアコン

 ● 扇風機







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Author:やっこ
ニホンミツバチに関する様々なことを、
気ままに思いつくまま書いてます。
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