分 蜂(その1)

ワバチは、冬眠することなく、コロニー内の、数千~2万にも及ぶ、全てのハチが、

 

何と、起きたまま、集団で、冬を越してしまう。

 

という、驚異の能力 を持った 昆虫ですが(こちらを参照)、

無事に冬を乗り切り、春を迎えると、繁殖 のための、行動を開始するんです。

 

新たに、女王蜂を産み出し、

コロニー)を 分割 することで、繁殖していく ワバチ ですが(こちらを参照)、

この繁殖方法を、巣別れすわかれ)、あるいは、

 

 

『 分 蜂 』ぶんぽう(Swarming)

 

 

と呼んでいます。

 

読んで字の如く、 かれる わけですね。

この分蜂は、

 

子孫を残し、命をツナグ。

 

という、ワバチが生きる、最大の目的 を達成させるための、

最も重要な、一大イベント ということになるんです。

 

hatigumo

【 蜂 雲 】:分蜂時のハチの乱舞。小さな点々は、全てハチ達です。

 

分蜂、その 数千 にも及ぶ、ハチたちの 乱舞 は、蜂雲はちぐも)とも呼ばれ、

見る者を 圧倒 せずにはいられません。

 

私は、初めて、この 分蜂 を目の当たりにした時、

その、轟音と、あまりの壮観さに、

 

 

「 うお~~っ!!! 」・「 すげ~~っ!!! 」

 

 

と叫びながら、鳥肌を立て、ドキドキ しながら、口をあんぐりと、開けたまま、

ハチの乱舞の中に身を任せ、暫く、茫然実質 になってしまったことを、

今でも、はっきりと覚えています。

 

それだけ、壮観、凄い、衝撃体験 だったんです。

 

【 分蜂群の 飛来の様子 】:新たな巣へと入る、直前の様子です。こちら

 

この動画は、初めて 分蜂群 の 蜂雲 の撮影に成功した時のものですが、途中、

あまりの興奮に、撮影している手が震えて、止まってくれませんでした・・・・。

(写真や動画などでは、その感動の、千分の1も、お伝え出来ないのが残念です。)

 

 

その後、何度も、この光景を見てきていますが、

その度ごとに、感動 し、ドキドキしながら、鳥肌を立ててしまっております。

 

ワバチ(ミツバチ)に、ご縁のない方には、見るのは至難の業だったりするのですが、

見たことが無い、という方には、是非、チャンスがあれば、

死ぬまでに、一度 は、この光景を、ご覧(体験)になって頂きたいと思っています。


後悔させません!!

 


さて、この 分蜂 という、一大イベント

春になると、桜の花が、急に開花 を始めるように、傍で見ている我々、人間には、

 

突然に、行われる行動!?

 

のようにも、見えてしまいます。

 

が、さにあらず、ここに至るまでには、

実は、それ以前から、周到な準備 が進められていて、準備万端整った時に、

 

いざ、出陣!!

 

となっているようなんです。


では、一体、どのような準備を、進めているというのでしょう?

 

 

次回は、この分蜂が行われるまでの 準備の様子 を、見ていきたいと思います。







《 関連リンク 》

 ● 分 蜂(その2)

 ● 分 蜂(その3)

 ● 分 蜂(その4)


 ● 越 冬

 ● 繁 殖







分 蜂(その2)

多くの生物には、繁殖期 というものがあり、

その時期に集中して、次世代を残すための、繁殖活動 が行われています。

年中、盛っているのは、きっと、人間くらいなのでしょうね。

 

ワバチの場合は、地域によって、 はありますが、だいたい、

 

4月 ~ 7月

 

の、初春~初夏 にかけての時期、と云われています。

 

この時期になると、ワバチたちは、突然 のように、分蜂を始めるわけですが、

実は、この分蜂に至るまでには、長く、地道な 準備 が行われていたんです。

 

その準備は、何と、前年 の分蜂直後にまで、さかのぼることが、出来るんです。

 

ワバチの活動、その 全て は、

 

 

「 分蜂 に 帰結 する 」

 

 

といっても、過言ではないのかもしれません。

 

その年、無事に 分蜂繁殖)という、一大イベントを終えると、

新たに生まれた、コロニーの多くが、それぞれの新天地で、新たな生活を、

ゼロ から、スタートさせることになります。

 

そこにあるのは、居住空間だけ 、巣板も無ければ、貯蜜もありません。

 

ワバチの生きる目的が、子孫を残すため、とするならば、この新天地でのスタートは、

次の分蜂へ向けての、最初の1歩 ということにもなるわけです。

 

 

生活史

     ※ イラストをクリック

 

 

分蜂交尾蜂数・貯蜜の確保越冬分蜂 (翌年)

 

これが、ワバチ コロニーの、1年間 の、生活サイクル ですが、これを、

一日 の活動にまで、落とし込んでみると、

 

巣作り産卵育児採餌(花蜜・花粉)貯蜜

 

という、地道な作業の 連続 であることが分かります。

日々の、この絶え間ない活動によって、巣板は大きくなり、巣房は増加していきます。

そして、多くの 育児室貯蜜倉庫 が確保できるようになることで、

 

蜂 数貯 蜜 量

 

共に、増えていくことになるんです。

 

このサイクルの、繰り返しこそが、ワバチの 生活の全て であり、

翌年の春に行われる、大量の ハチ貯蜜 を必要とする、分蜂 へと向けた、

 

準 備 活 動

 

ということにも、なるわけです。

 

ただ、次の分蜂へ 至る までには、そう簡単なことではありません。

それを阻む、様々な 障壁 が、立ちはだかることになるんです。

 

春先の交尾失敗種々の病外敵人による駆除不測のトラブル

そして、気温や天候など、自然環境 によっても、その 行く手が阻まれ てしまいます。

この中でも、特に大きな 2つ 存在します。

 

1つは、オオスズメバチ の脅威です。

 

syuugeki

【 オオスズメバチ襲撃 】:無残なワバチの死体が転がっています・・・。

 

私の観察では、野生の自然群約5~8割 が、これにより、滅ぼされ、消滅 します。

敵わぬまでも、蜂数の増加は、この オオスズメバチ に対する上でも、有効 なんです。

こちらを参照

 

そして、何とか、この脅威をくぐり抜けても、その先には、2つ目の 越冬 という、

長く、辛い試練 が待ち構えています。一難去って、また一難、というわけですね。

 

こうして、初冬までの、半年ちょっと の間で、少しずつ、少しずつ、越冬に備えた、

たくさんの 蜂数 と、大量の 貯蜜 を、巣の中に、蓄えることになるんです。

 

逆に云えば、この時点で、蜂数 や 貯蜜量 が 少ないと

冬を乗り切ることが出来ず、分蜂にまで、たどり着けない わけです。

 

越冬中には、採餌活動が 制限 されてしまうため、それまでに蓄えておいた、

大量の貯蜜を使って、巣内を 暖房 しながら、皆でじっと耐え忍びます。

 

そして、産卵・育児 も、一時的には、止まるものの、すぐに再開され、真冬でも、

少しずつ蜂数を、増やし続けていくんです。

 

この暖房と、特に育児は、命綱 となる貯蜜を、大量に消費 させることになります。

そう、この時期の子育ては、命懸け なんです。

 

ettou

【 越冬失敗 】:越冬に失敗し、皆で固まって息絶えています。

 

晩冬 になると、ようやく、徐々に 蜜・花粉源 となる花が 増え 始めます。

そして、三寒四温さんかんしおん)を経て、徐々に平均気温も 上がって いきます。

 

艱難辛苦かんなんしんく)を乗り越えた、ワバチたちは、待ってましたとばかりに、

猛烈な勢いで、花蜜・花粉 を集め出し、女王蜂 も、それに呼応するように、

本格的な、産卵 を開始することになるんです。

 

コロニーを分割する、分蜂 には、多くのハチと、多くの貯蜜が必要となるため、

この時期、急激に 蜂数と貯蜜量 を 増やすことで、いつでも分蜂が行えるように、

準備 を進めていくわけなんです。

 

ここで、ようやく、分蜂 という 一大イベント を 迎えることになります。

 

bunnpou

【 分 蜂 】:幾多の苦難を乗り越え、歓喜の舞 のようにも見えてきます。

 

ここまで、簡単に準備の流れを、書いてきましたが、

実は、無事に、次の年の分蜂まで、たどり着ける コロニーは、野生の自然群 では、

全体の約1~3割 というのが、私の観察結果です。

 

ワバチは本当に、本当に、過酷な自然を生き抜き、分蜂までたどり着くんです。

 

こうして、巣別れした、多くのコロニーは、再び、

翌年の分蜂へと向け、ゼロの状態から、準備を開始 することになります。

 

一見、春になると、突然 のように行われる 分蜂 ですが、ワバチたちは、

実は、このような、一年を通じた、地道な努力と、周到な準備を行っていたんですね。

 

一年の流れを理解し、今、ワバチたちは、何のために、何をやっているのか?

飼育をする場合にも、常にこのことを考えながら、見守る必要があるように感じます。

 

こんな、ワバチたちの、命を懸けた苦労を知ってしまうと、申し訳なくて、

益々、採蜜に対して、気が重くなってしまうのは、私だけでしょうか・・・・。

 

採蜜とは、強奪・・・。

 

う~ん、本当に、ごめんなさい、ワバチ。。。

 

 

ところで、何故、春から初夏にかけてのこの時期に、分蜂は行われるのでしょう?

 

それは、新たに生まれた、コロニーにとって、

この時期が、その後の 生存率 を上げるうえで、最も適した季節 だからでしょう。

 

蜜・花粉源となる花が、たくさん 咲き乱れる この時期は、

ゼロから、生活をスタートさせる コロニー にとっては、願ってもない季節 です。

 

また、スタートが 早いほど、越冬のための準備期間も、長く取れますから、

充分な 蜂数、貯蜜量 を蓄える可能性も、高まり ます。つまり、この時期でないと、

越冬までの、準備が 間に合わない 可能性が高い、ということなんです。

(まれに、初秋からのスタートでも、分蜂までたどり着ける場合もあります)

 

ただ、ここで、疑問が生じます。

 

春さえ来れば、必ず分蜂は、行われるのでしょうか?

 

答えは、 なんです。

 

春が訪れ、気温 が上がり、周囲に花が たくさん 咲き始めることで、活発になり、

急速な 育児 や 採餌活動 によって、分蜂への準備が 進む のは、事実ですが、

これだけでは、分蜂は 行われない んです。

 

実は、分蜂が行われる直前には、ある 特別な準備 が行われる必要があったんです。

 

いったい、それは、どんな準備なのでしょう?

 

 

次回は、この 分蜂直前の準備 について、書いてみたいと思います。







《 関連リンク 》

 ● 分 蜂(その1)

 ● 分 蜂(その3)

 ● 分 蜂(その4)


 ● オオスズメバチ

 ● 越 冬







分 蜂(その3)

ワバチは、分蜂 という 一大イベント に向けて、

一年という、長期 にわたって、準備を進めてくわけですが、

 

実際に、分蜂を行うに当たっては、

実は、直前に、ある 重要な準備 を必要としていることが、わかっています。

それは、新たに、

 

 

オス蜂    女王蜂

 

 

を、生み出すこと なんです。

 

 

    hati

 

 

 

ワバチの 繁殖行動 というのは、正確には、分蜂も含めると、

実は、3つ の段階を、踏んでいるんです。

 

 

 

繁殖

 

 

 

繁殖個体 の 産出(雄蜂・女王蜂の生産)

      オス蜂 が、先に生み出され、女王蜂 が、続きます。

 

分 蜂(巣別れ)

      1~4回 の分蜂が、通常、行われます。

 

(交尾飛行)

      新女王蜂 のみが、交尾を行います。

 

 

つまり、分蜂 という、コロニーの 分割作業 の 前に

新たに、オス蜂女王蜂 を、ほぼ同時に、生み出しているわけなんです。

 

そして、分蜂が終わると、生まれて間もない 新女王蜂 は、

すぐに、他巣のオス蜂 との、交尾 のために、交尾飛行 を行うことになります。

正確には、この 交尾の成功 をもって、

 

繁 殖 成 功

 

と、なるわけです。


ただ、ここで、疑問 が生じます。

ワバチのコロニーは、女王蜂の存在 なくして、正常な活動は行えません。

コロニーの分割に、新女王蜂の存在 が、不可欠 なのは、分かりますが、

 

なぜ、同時期に、オス蜂を生み出す必要があるのでしょう?


 

それは、一刻も早い交尾の成功 が必要だからです。

 

分蜂したての、まだ何もない、ゼロの状態 のコロニーにとって、

生活の全てを担う、巣板 と、貯蜜の確保 は、死活問題急務 ということになります。

実際、新居で 最初 に行う仕事というのは、巣板作り花蜜採取 です。

 

ただ、いくら、巣板が大きくなり、貯蜜が確保されたとしても、

女王蜂の産卵 がなければ、コロニーの担い手となる、働き蜂 は増えていきません。

まだ 精子を持ない、新女王蜂にとって、働き蜂を産むためには、

 

 

オス蜂 との 交尾

 

 

は、必須 で、これ以外に、方法がないわけです。

 

・この時期、働き蜂たちの寿命は、約 1ヵ月

・働き蜂が生まれるまでには、19 日間

 

そう、この分蜂直後の活動は、時間との勝負 だったんです。

 

交尾の成功 なくして、その後のコロニーの発展など、あり得ない わけですから、

一刻も早い交尾成功 と、産卵開始 が、必要となるわけです。

 

同時期に、同じ地域のコロニーが、一斉に 繁殖行動 を開始するのも、

また、オス蜂を、同時期 に生み出すのも、

 

全ては、交尾 を成功させるため

 

という、ワバチの、種としての戦略 だったわけですね。

(交尾については、また後日、改めて書こうと思っています。)

 

凄いぞ、ワバチ!!

 

 

そして、分蜂に際しては、このオス蜂の存在は、不可欠 のようで、

女王蜂のみ の生産(オス蜂のいない状態)では、分蜂行われない ようなんです。

どうやら、分蜂 雄蜂 は、切っても切れない関係 にあるようですね。


osu_cr

【 オス蜂 】:目が大きく、腹部が太く、黒いのが特徴。春夏秋冬 より )

 

 

1つ、ここで、不思議 なのは、

女王蜂よりも、オス蜂の方が、先行して生み出される、という事実です。

 

オス蜂と女王蜂の生産は、実際には、セット になっているわけですが、

オス蜂の方が、2週間 ほど先行して、スタートすると云われています。

 

これは、いったい、どういうことなのでしょう?

 

交尾成功までに、時間的猶予 が無く、待ったなし の状況にある、新女王蜂にとって、

 

生まれた時には、既に、オス蜂 が存在してくれている。

 

という、この 状況 は、オス蜂誕生を待つ という、

時間的なロスを 回避 でき、それだけ、交尾の成功率 も上がる、と考えられます。

 

実際には、自分のコロニー内 のオス蜂とは、交尾することは ない のですが、

同時期に生み出される、他巣他コローニー)の、オス蜂がいるわけですから、

同じこと ですよね。

 

また、誕生までに掛かる日数が、女王蜂では 15日間 、オス蜂では 21日間

オス蜂の方が、生育日数が長い という事実も、オス蜂の生産を先行させる理由

になっているのではないかと、個人的には考えています。

 

興味深いのは、この 事例 が、実は、ワバチをはじめとする、ミツバチ だけではなく、

スズメバチ類 や、アシナガバチ類 など、社会性を持った、ハチの仲間でも、

多く 見られる、ということなんです。

 

それが 効率が良いから であることは、間違いないのでしょうが、もしかしたら、

社会性 を持っていることと、何か関係しているのかもしれませんね。

 

 

さて、ワバチは、このように、

分蜂を行う、 約1ヶ月位前 から、オス蜂と女王蜂 を生み出していくわけですが、

 

ここで、その様子を、少し見てみたいと思います。

 

ワバチは、新たな女王蜂を生み出すための、王椀王台)という特別巣房を作る前に、

まず、雄蜂用の、通常より、一割ほど 直径の大きい、六角形の巣房を作り始めます。

 

その後、女王蜂によって、この巣房に、未受精卵 が産み付けられ、21日後 には、

オス蜂 が誕生してくることになるんです。

(オス蜂は、何と、未受精卵から生まれてくるんですよ。)

 

この時、生まれてくるオス蜂は、コロニーの 約1割 位と云われていて、

1万匹のコロニーだとすれば、千匹のオス蜂が、誕生することになるわけですね。

 

そして、この未受精卵の産卵から、遅れること 約2週間

ここでようやく、王椀 を作り始め、新たな 女王蜂の育成こちらを参照)

取り掛かることになるわけです。

 

この時、作られる 王台分蜂王台) は、数 個10個前後 と言われています。

 

一足先に産卵されていた、 オス蜂の羽化 が始まると、

穴の開いた、繭蓋まゆぶた)が、巣門付近 に、多く見られるようになります。

 

mayubita

【 オス蜂 の 繭蓋 】:羽化後に落ちたもので、中央に、小さな穴が開いています。

 

実は、ワバチのオス蜂の まゆ)には、特徴があって、

先端中央部の、 に当たる部分に、小さな穴 が開いているんです、

 

この 小さな 穴の開いた蓋 が、多く確認できるようになってから、数日経つと、

 

最初の 分蜂 が始まる。

 

と言われています。

 

今まで、コロニー内で、産卵していた、母親 に当たる、女王蜂 が、

巣内の、約半数 の働き蜂や、一部のオス蜂と共に、巣を出ていくことになるんです。

に当たる、新女王蜂 が生まれる 直前 に、分蜂を行うわけですね。

 

実は、これは、

 

最初の 新女王蜂が 誕生 する、1~6日前

 

に当たるのですが、つまり、

 

 

オス蜂 誕生  ~  最初の 新女王蜂 誕生

 

 

までの、約1週間(それ以上の場合も有)の中 で、最初の分蜂 が行われる。

ということになるわけです。

 

また、何故か、この 最初の分蜂 は、


桜 が満開になって、10日目位

 

に当たる時期と、一致 している。という 観察報告 もあるんです。

興味深い、一致 ですね。

 

 

 

分蜂hyou

 

 

 

いつ、分蜂が行われるかは、このような 目安 で、判断 できるわけです。

 

ただ、もちろん、例外 もあります。

 

オス蜂が生まれても、王台 が出来なかったり。

王台が出来ても、分蜂 しなかったり。

 

といったことが、起こることがあるんです。

 

では、何故、分蜂したり、しなかったりが起こるのでしょう?

 

 

また、そもそも、ワバチたちは、

いったい、何を感知して、分蜂直前の準備 を開始しているというのでしょう?

 

 

 

次回はこの、分蜂の引き金となる要因 について、考えてみたいと思います。







《 関連リンク 》

 ● 分 蜂(その1)

 ● 分 蜂(その2)

 ● 分 蜂(その4)


 ● クィーン(その6): 王台!? (その2)







分 蜂(その4)

長い、長い、一年 という、準備期間 を経て、蜂数と貯蜜を増やしてきた、ワバチは、

一大イベントである、分蜂を迎えるにあたって、繁殖を行うことの出来る

 

・精子 を持った、多数の オス蜂

・卵子 を持った、小数の 女王蜂

 

それぞれ、新たに、生み出すことになります。

そして、最初の、新女王蜂の誕生 する、直前 に、分蜂が行われるわけです。

 

ただ、ここで、不思議 なのは、

あんなにも 苦労 して、たどり着いたはずの、 なのに、

 

全てのコロニーが、分蜂するわけではない。

 

ということなんです。

 

オス蜂は生まれて来ても、女王蜂は、生まれなかったり、

オス蜂も、新女王蜂も、生まれて来たのに、分蜂しなかったり、

 

といったことが、起こる場合があるんです。

 

これは、いったい、どういうことなのでしょう。

 

実は、

分蜂したり、しなかったり、といったことが、何故、起こるのか?

 

また、

何を感知して、ワバチたちが、オス蜂と女王蜂の、生産を開始するのか?

 

といった、

 

 

「 分蜂の引き金 となる 直接の要因 」

 

 

については、

残念ながら、未だ、完全には、解明されていない ようなんです。

それだけ、複雑怪奇!? で、難しい ということなのでしょうね。

 

う~ん 、残念です!!

 

ただ、いくつか、分かっていることも、あるんです。

そこで、今回は、分蜂までの流れを追いながら、

 

私なりに、この  不可解な謎  に、迫ってみたいと思います。

 

以下、少し、長くなりますので、ご興味がない方 は、ここで、お止め下さい。

もし、少しでも、ご興味・ご関心 がおありでしたら、私の 勝手な妄想!?

になりますが、よろしければ、お付き合い下さい。

 

 

 

 

《 分蜂準備 の 開始スイッチ とは? 》

 

分蜂するに当たっては、オス蜂女王蜂 の生産 は、不可欠な準備ですが、

 

この準備を 開始させる スイッチ とは、具体的には、いったい何なのでしょうか?

また、そもそも、このスイッチは、1つだけなのでしょうか?

 

ここからは、この 開始スイッチ の正体について、私なりに考えてみたいと思います。

 

 

  • 春の感知は、準備開始スイッチ? 

 

ワバチの 繁殖行動 は、 の訪れを待って、開始されますので、ワバチたちが、

何らかの方法 によって、春の到来 を感知しているのは、間違いないと思われます。

 

とすれば、春の感知 こそが、分蜂準備の 開始スイッチ なのでしょうか?

 

そして、このスイッチは、

オス蜂 生産 の 開始スイッチ なのでしょうか?

女王蜂 生産 の 開始スイッチ なのでしょうか?

 

それとも、

両 方 の 開始スイッチ なのでしょうか?

 

 

このことについて、考える前に、まずは、

 

ワバチは、どのようにして、春の訪れを感知しているのか?

 

この疑問について、考えていきたいと思います。

 

 

  • 春の訪れは、どのようにして、知るのか?

 

時計 や、カレンダー を持たない、植物 や、動物昆虫 たちの多くは、

季節や、一年の変化を、実は、日の長さ や、気温 によって、感知しています。

これによって、刻々と変わる、自然環境に、様々に 対応 しているわけです。

 

では、ワバチも、このような方法で、春の訪れを、知るのでしょうか?

 

 

 

  • 日長(にっちょう)は、感知していないのか?

 

日長昼と夜の長さ)を感じ取って、行動や、体の働きを、変えていくことを、

 

光 周 性 (こうしゅうせい)

 

と呼んでいて、

多くの植物や、動物で、この 性質 を持つことが知られています。

 

kousyuusei

Laboratory of Animal Physiology より

 

特に、外気温 によって、体温が変わってしまう、変温動物 の、昆虫にとっては、

気付かぬまま、 を迎えてしまうことは、即ち、 を意味します。

 

そこで、冬に、成虫のまま 休眠冬眠)する、昆虫などでは、

この 日長を感知 することで、冬の到来を 知り、耐寒性の体になるべく、

体内の 生理作用 を変化させ、冬眠への準備 を、開始したりするわけです。

 

つまり、季節を知ること は、生命を維持 する上で、非常に大切 なことなんですね。

 

では、ワバチも 日長 を感知して、を知り、体内の生理作用を変化させることで、

分蜂へ向けた行動が、開始 されるというのでしょうか?

 

実は、このことについては、よく 分かっていない ようなんです。

ただ、ミツバチ は、

 

はっきりとした、光周性 持たない

 

と言われています。

冬は 著しく弱まる とはいえ、冬眠もせず、一年中、活動しているわけですから、

光周性を持つ 必要自体 が、ない のかもしれませんね。

 

では、もし 日長 でないとすると、何によって、春を知るのでしょうか?

 

 

 

  • 気温は、関係していないのか?

 

気温上昇 が、ワバチの活動を 活発化 させる

 

引き金

 

となっていることは、確かです。

 

ワバチは、外気温 が、5℃以下 位 になると、

巣の中で、皆で固まって、じっと したまま、動かなくなります。


つまり、寒くなると、活動が制限 されるわけです。

この時、巣内を、強制的に温めてやると、途端に 活発に動き始めます。

 

また、同じ場所であっても、日当たりの良い 位置にある巣の方が、

日陰に 位置する巣よりも、春先に、早く 活動を開始する、という事例もあります。

私の経験でも、これは確認しています。

 

このようなことからも、気温の上昇 が、

ワバチの 活動開始引き金 になっていることは、まず間違いないでしょう。

 

 

 

  • 花の開花は、関係していないのか?

 

当然、蜜源植物の開花 も、関係していると考えられます。

 

花畑

 

冬でも、花の絶えない、比較的暖かな地域では、

蜜源花が 咲き続けるうち は、気温が下がってきても、採餌活動を 止めません

一方、花のほとんどない、地域では、早々に 越冬に入ってしまいます。つまり、

 

蜜源花の存在 と、活動の有無 には、関連性 がある。

 

ということなんです。

 

春の訪れとともに、多種、多様 な花が、咲きはじめ、

魅力的な、蜜・花粉源花増えていく ことで、多くの働き蜂たちが、動員され、

活発採餌活動 が開始されていくのは、至極、当然のように思えます。

 

 

 

  • 気温の積算は、関係していないのか?

 

毎日の気温を、積み重ねて足し算して)、算出 する気温のことを、

 

積算気温 (せきさんきおん)

 

というのですが、例えば、毎年、春になると、花粉症 の方たちを悩ます、

スギ花粉 は、1月1日からの、最高気温 の積算 が、300~350℃ になると、

東日本では、 飛散悲惨!?)が始まると、云われています。

(寒い日が続けば、花粉の飛散時期が遅れる、とも云えますね)

 

 sugi

【 杉花粉 】:積算気温を感知して、飛散が始まります。

 

つまり、ある行動が起こるには、

 

一定時間の 気温を、体が、経験 しなければならない。

 

ということなんです。

実は、我々日本人のよく知る、サクラの開花 も また、これに関係していたんです。

 

sakura

【 ソメイヨシノ 】:寒さと暖かさの積算によって、開花が始まります。

 

秋に葉を落として、休眠する サクラソメイヨシノ)ですが、何と、冬の間 に、

 

2℃ ~ 12℃ の間で、800時間以上

 

を過ごすことで、休眠から 目覚め開花へのスイッチ が入るというのです。

そして、このスイッチが入ってから、

 

積算気温が 540℃

 

を超えると、ここで初めて、開花 をスタートさせるのだそうです。

つまり、サクラの開花は、スギ花粉 の場合とは 違って

 

「 春の暖かさ 」開花するための積算 )だけでなく、その前に、

 

「 冬の寒さ 」休眠から目覚めるための積算 )も、

 

経験する必要が、あったわけですね。


生物に、このような仕組みがあるとは、全く驚きです!!

 


でも、このようなことは、ワバチにも、当てはまるのでしょうか?

 

他の昆虫 で見てみると、例えば、幼虫の発育速度 などは、一般に、

高温 になるほど 早く低温 になるほど 遅い、ということが、分かっていて、

積算温度 から、成虫の出現時期の 予測 を立てることが出来たりするんです。

(害虫発生時期の予測に利用されます)

 

また、セミは、春からの 積算温度 によって、羽化する時期が決まるようですし、

カブトムシ や、成虫で越冬する クワガタ でも、積算温度 が 羽化 や、

活動開始時期 に、影響を与えている、といわれています。

 

musi

【 積算気温を感知する虫たち

 

どうやら、昆虫も、気温の積算 とは、無縁ではない ようですね。

 

残念なことに、ミツバチでは、積算温度 による、行動の変化 については、

まだ調べられていないようで、よく分かってはいないんです。

 

ただ、サクラの開花最初の分蜂 には 関連性 がある、という 観察報告 があり、

 

ワバチも、寒さや、暖かさの 積算 を感知しているのではないか?

 

という 可能性 が、指摘されていたりもするんです。

 

 

さて、色々と書いてはみましたが、実は、

 

ワバチが、どのようにして、春の訪れを、感知しているのか?

 

という、疑問 に関しては、まだ、よく分かってはいないようなんです。

個人的には、1つではなく、少なくとも、

 

 

気温の上昇 」 と 「 蜜源植物の開花

 

 

が、大きく関わっている のは、間違いないだろう と、感じてはいるのですが、

ただ、その一方で、そもそも、

 

分蜂の準備開始 に、本当に、春の感知 が、必要不可欠 なのか?

 

という 疑念 も、抱いてしまっております。

 

 

  • 春の感知は、必要なのか?

 

ワバチは、環境に逆らって!? 生きている、ちょっと 特異な昆虫 です。

幼虫を育てるために、外気温に関係なく常に35℃ を作り出しますしこちら

冬眠 することもありません。

 

1

【 冬眠せずに越冬するワバチ 】

 

実際、冬のない 熱帯 では、女王蜂の生産は、主に、年2回程度 見られるようで、

雄蜂も、ワバチのように、春~初夏 にかけての時期に、集中するような事はなく、

特に季節による 偏りがない ようなんです。

 

熱帯に住む、トウヨウミツバチたちは、

年中活動できるので、年中、繁殖可能な態勢を 取っているのかもしれませんね。

 

元々、ワバチは、冬のない、熱帯アジアが起源 と言われていますので、

季節性季節によって変化する性質)を持つ 必要が無く、そもそも、

この性質自体が、初めから無かった!? と考えることも、出来るわけです。

 

実際に、旧女王群 では、オス蜂の生産 が、秋まで続くこともありますし、

私は、まだ見たことはありませんが、何と、まれに秋に分蜂 する、

ということも、あるようなんです。これなどは、

 

祖先の性質 を、引き継いでいる証拠 となる行動!?

 

とも思えてきます。

また、はっきりした 光周性が無い ことも、季節性が無い ことを、裏付ける証拠!?

のような気もしてきます・・・。

 

ひょっとしたら、ワバチは、

体毛も薄く、非力な人類が、衣服や、道具などを発明したように、

季節性 や、光周性 が無いことを 克服 する為に、

 

飛翔筋こちらを参照を使った、熱のコントロール という 凄技 を編み出した!?

 

なんていう可能性も、皆無とは言えないのかもしれませんね。

 

こう考えていくと、

 

分蜂 に 春の感知 は 必須ではない!?  (そもそも感知などしていない!?)

 

という可能性も、見えてきたりします。

 

ワバチたちは、気温蜜源花の開花 を感知して、活動を活発化 させてはいても、

実は、春の感知(冬の感知も!?)していない!?  のかもしれません。

また、同様に、気温の積算 に関しても、感知していない可能性も考えられますね。

 

う~ん、難解・・・。

 

 

このように、春の感知 自体 が、疑わしいとすれば、

これを、開始スイッチ と考えることには、少し、無理があるようにも思えてきます。

 

では、この他に、開始スイッチ となり得るものは、何かあるのでしょうか?

 

続いては、他のスイッチ の可能性について、考えていきたいと思います。

 

 

  • オス蜂の存在は、女王蜂の開始スイッチ?

 

オス蜂の存在 が無ければ、分蜂は、行われないようです。ということは、

育児中の状態 も含め、オス蜂の存在 が、女王蜂の開始スイッチ となっている

可能性は、大いに考えられます。

 

しかし、残念ながら、これは無いようなんです。

 

それは、オス蜂が存在していても、分蜂しない こともあるからなんです。

どうやら、オス蜂の存在 は、女王蜂開始スイッチ とはならないようですね。

 

では、女王蜂の、開始スイッチ は、いったい、何なのでしょうか?

 

 

 

  • 女王物質は、女王蜂の開始スイッチ?

 

女王蜂は、常に 女王物質(女王フェロモン:こちらを参照)を分泌することで、

コロニー内の 正常な活動 に、貢献していますが、この 分泌量が少なく なると、

働き蜂は、何か異常が起きた と判断し、様々な行動 を取り始めるんです。

 

実は、女王蜂育成 のための巣房である、王台王椀)作りの スイッチ として、

 

女王物質 の 減少

 

が、大きく関わっていることが、指摘されているんです。

 

 

女王物質減少

 

 

でも、分蜂前のこの時期に、何故、女王物質が、減ってくるのでしょう?

 

ここからは、全てヨウバチの、知見になります。

春の活発な 育児 採餌貯蜜 活動によって、多くの巣房 が使われる ことにより、

空いた巣房 が、徐々に減ってきてしまう、という事態が、生じてきます。

 

つまり、産卵場所が無くなってくる ということなんです。

 

すると、女王蜂は、食糧である、ローヤルゼリーミルク)を、

徐々に、働き蜂から、もらわなくなってくるんです。

産卵しなくなる ので、必然的に、食事量 も、減っていく ことになるわけですね。

 

卵や、女王物質の もと)ともなっている、ミルク の 摂取量が 減る ことで、

 

女王物質の分泌量減って しまう。

 

というわけなんです。

 

ちなみに、これによって、卵巣の発達弱まり体重 も減り始めることで、

普段、重くて飛べない体も、スリムな体 へと変化していきます。

分蜂までに、飛行できる体 になるよう、ダイエット していくわけですね。

 

ワバチの女王蜂の場合は、痩せなくても 飛べるのですが、痩せることで、

より飛び易くなり、新居までの移動が、スムーズ に行えるというわけなんです。

 

なるほど、上手く出来ているわけですね!!

 

ただ、女王物質が 減って しまうのは、実は、分蜂時に 限った ことではなく、

女王蜂が、突然死んで 不在 になったり、加齢 によっても、起こることなんです。

 

このような場合には、分蜂 は行いませんし、オス蜂 も生み出しません。

単に 王台更新王台・変成王台)を作ってこちらを参照)、

新たな女王蜂を、生産しようとするだけで、終わってしまうんです。

 

この事実は、

 

女王物質の減少 だけでは、分蜂は起こらない。

 

ということを意味していて、同時に、

 

分蜂までには、開始スイッチは、1つではなく、複数存在している。

 

という、可能性が、高いことを示唆しているわけです。

 

スイッチが、1つでない、のであれば、

前述の オス蜂の存在 と考え合せることで、スッキリ するような気がします。

 

・女王物質が減る ことで、女王蜂生産開始スイッチ は入っても、

・その時点で、オス蜂が存在 していなければ、分蜂までには、至らない。

 

ということのように、思えてきます。

 

 

さて、一応、女王蜂の開始スイッチ が、見えてきた!? ところで、

次に、オス蜂開始スイッチ について、考えていきたいと思います。

 

 

  • 女王物質は、オス蜂の開始スイッチ?

 

女王物質の減少 は、女王蜂開始スイッチ になっているようですが、同様に、

 

オス蜂の 開始スイッチ の方も、兼ねてはいないのでしょうか?

 

女王物質が減る ためには、巣房が埋まり産卵もストップ する必要があります。

仮に、オス蜂の開始スイッチ を兼ねているとした場合、この状況下で、果たして、

 

千匹余りの、オス蜂の産卵が、行えるのか?

 

という 疑問 が、残ります・・・。

(頑張れば、1日で産める数ですが、そもそも産み付ける巣房がないはず・・・。)

 

どうやら、オス蜂開始スイッチ は兼ねていないようですね。

 

では、いったい何が、オス蜂の 開始スイッチ に、なっているというのでしょう?

 

 

 

  • 営巣空間は、関係していないのか?

 

私のような、ど素人 にとっては、コロニーが増えることは、大歓迎 なのですが、

実は、プロが行う、採蜜中心の ヨウバチ養蜂 では、分蜂は 嫌われて いるんです。


コロニーの分割は、蜂数を減らすため、採蜜量減少に、直結してしまうんですね。

放っておくと、ハチたちは、勝手に分蜂 してしまうので、養蜂家は、

 

継箱つぎばこと呼ばれる、空の箱 を継ぎ足して、巣箱内の空間を広げたり、

・巣板の基になる、巣礎すそや 空巣房の 巣脾すひを、巣箱内に入れたり、

 

といった、分蜂防止の対策 を取るのだそうです。

 

su

【 分蜂阻止対策 】:左から 継箱・巣礎・巣脾

 

すると、何と、これで、分蜂を阻止することが 出来てしまう、というのです。

 

驚きですね!!

 

つまり、営巣空間を広げ増巣産卵育児貯蜜 など、

ハチに、仕事が出来る 環境 を、作り出してやることで、分蜂しなくなる

ということのようなんです。

 

この事実は、逆に言えば、

 

・営巣空間が、ハチや巣板で一杯になり、狭くなると、分蜂準備が開始される。

・仕事が出来る余地がある内は、分蜂しない。

 

ということを、意味するようにも、思えてきます。

 

実際に、自然界でも、営巣空間が狭く、あまり大きなコロニーでなくても、

空間が、ハチで一杯 になることで、分蜂することはあるんです。

(ちなみに、繁殖期以外では、営巣空間が狭くなってくると、逃去(お引越し)

することもあるんですよ。)

 

ということは、営巣空間の減少が、オス蜂の 開始スイッチ なのでしょうか?

 

一方、自然界では、まれに、開放空間 に、巣が作られる場合があります。

つまり、巣板が、剥き出し状態 で、営巣空間に 制限がない わけです。

 

kaihousu

【 開放巣 】木の枝に作られたワバチの開放巣走る水道屋~風車 より)

 

このような巣を、開放巣かいほうす)と呼んでいたりするのですが、

この、空間無制限大開放状態の巣 でも、ちゃんと、分蜂は行われる んです!!

 

空間を広くすれば、分蜂しないが、広いままであっても、分蜂する???

 

何とも、不可解、摩訶不思議ですね!!

 

ただ、この事実は、仮に 空間の減少 が、オス蜂の開始スイッチ であったとしても、

 

まだ、何か、他にも、関係する スイッチ が存在してる!?

 

ということを、示唆しているようにも思えてきます。

 

では、他の 関連スイッチ とは、いったい、何なのでしょうか?

 

 

 

  • 蜂数や貯蜜量は、関係していないのか?

 

分蜂しても、蜂数が少なく、生き残れない のであれば、意味がないはずです。

分蜂に際しては、恐らく、新天地で 生き抜ける最低限 の、蜂数貯蜜量 は、

不可欠 なのではないかと、想像 出来ます。つまり、

 

蜂数 や、貯蜜量 が、少ないうちは、分蜂しない

 

と、考えられるわけです。

逆に、一定以上蜂数貯蜜量 が、存在していれば、

 

営巣空間に 関係なく、分蜂準備を開始する 可能性はある のではないか?

 

こう考えることも、出来るわけです。

 

もしかしたら、

これが、オス蜂生産開始スイッチの1つ になっているのかもしれませんね。

 

例えば・・・、

越冬明けの時点で、必要十分な、蜂数、貯蜜量があれば、

営巣空間に関係なく、直ちに、オス蜂生産の 開始スイッチ が入り、

 

不十分であれば、スイッチは入らず、十分な 蜂数・貯蜜 が確保されるまで、

働き蜂の生産・貯蜜確保 の作業が、優先される。そして、

 

活動途中で、営巣空間が不足して来た場合には、

その時点で、まだ 不十分 ではあっても、必要最低限の 蜂数・貯蜜量 があれば、

開始スイッチ は入る。

 

といった感じです。

 

 

 

  • 考えられる、その他の要因は、存在しないのか?

 

以下、全て、少し昔の、ヨウバチの知見 で、怪しげな!? 感じもするのですが、

ご紹介したいと思います。

 

前述した、春先の活発な活動により、巣房が不足 してくると、

採餌蜂 が活動をしなくなり、云わば、失業状態の、採餌蜂が増え始めることで、

スイッチが入る、という説があります。

 

つまり、「 仕事くれ~ 」 が スイッチ になっている、という説です。

 

ただ、冬の時期には、採餌蜂が活動しなくなっても、分蜂は行われません。

一理あるようですが、完全ではない ようですね。


また、同様の状況下で、女王蜂 が、ローヤルゼリー をあまり食べなくなったり、

育児巣房が、限られ、育てるべき 幼虫 が、いなくなってしまうことで、

スイッチが入る、という説もあります。

 

ローヤルゼリー(ミルク)を作り出し、育児や、女王蜂に、食料を与える仕事を、

専門に行うハチを、育児蜂 と呼んでいます。

 

実は、巣内の気温に応じて、育児エリア幼虫たちが育てられている場所)の、

育児蜂の数が 変わってくる ようで、巣内が暑くなるほど、育児蜂は、

少なくて、済むようなんです。

 

春になり、気温が上がることで、育児蜂が、あぶれ出す というわけです。

そして、女王蜂も 食べてくれない し、ミルクを与える 幼虫もいなくなる ことで、

ミルクの生産量が過剰 になり、これが原因で、スイッチが入る、というのです。

 

つまり、「 おっぱいが張ってるよ~ 」 が スイッチ になっている、という説です。

 

この時、育児蜂は、ミルクのはけ口として、オス蜂 を育て始めるといいます!?

オス蜂育成には、働き蜂の 約3倍量 のミルクが必要なので、ちょうど良い!?

はけ口になるようなんです。

 

一方、他の働き蜂たちも、この 過剰のミルク を食べ始め、卵巣の発達が進む

としています。(ローヤルゼリーには、卵巣発達を促進させる効果もあります

 

実際に、分蜂中の働き蜂 を調べてみると、何と、その1/3に、

卵巣の発達 が見られるようなんです。(女王物質の不足が原因のような気も・・・

 

ただ、巣房が一杯になる状況は、春の分蜂時以外でも、起こり得ることなので、

こちらの説も、一理あるようですが、完全ではない ようですね。

 

ちなみに、実は、ミルクの生産過剰、という状況に、

女王物質の不足 が加わると、働き蜂産卵 が起こることが知られています。

 

働き蜂産卵というのは、その名の通り 働き蜂が産卵 を始めることを言うのですが、

女王蜂が不在になり、その後の生産にも失敗したコロニーで、起こる行動なんです。

 

前述のように、分蜂前には、女王物質の減少 があるようなので、

分蜂と、働き蜂産卵とは、紙一重!? ということなのかもしれませんね。

 

いずれの説も、一理、あるように感じますが、

全ての状況において、説得力 を持つものとは言えません・・・。

 

 

 

 

 

《 分蜂開始 の スイッチとは? 》

 

さて、ここまで、分蜂 直前準備開始スイッチ について、見てきたわけですが、

 

最終的に、分蜂 を 開始されるスイッチ というのは、存在しているのでしょうか?

 

 

  • 何が、分蜂開始の、引き金になるのか?

 

実は、女王蜂の 誕生の直前 には、これから羽化する、新女王蜂が、

 

「 これから生まれるぞ~ 」

 

と、王台の中から振動による共鳴)を上げることが分かっています。これを、

 

クィーン・パイピング

 

と呼んでいるのですが、

これによって、働き蜂たちは、新女王蜂 が羽化してくることを 知り

この声を合図に、分蜂が開始される と云われています。

 

そして、私の観察では、

分蜂決行日 は、晴天 で、風の弱い日 を選んで、午前中 に行われています。

 

 

 

  • 分蜂を行わない、という選択肢はあるのか?

 

実は、あるんです。

 

おそらく、前述してきた、様々なスイッチ入らない ことによって、

分蜂による、繁殖 が、叶わない という場合が、あるようなんです。

 

こんな時は、繁殖を諦め!?

今までコロニー内で、産卵してきた 現女王蜂 を、巣から 追放 して、

新たに生まれてきた、新女王蜂 と、交換女王更新)する場合があるんです。

 

王台が作られたのに、分蜂しなかった場合の、その時、作られていた 王台 は、

 

分蜂王台 ではなく、更新王台 だった。 こちらを参照)

 

なんていう、可能性も、あるわけなんです。

 

 

 

 


《 ま と め 》

 

さて、長々と 開始スイッチ について、書いてきましたが、

ここで、少し、整理して、分かりやすく まとめ てみたいと思います。

 

 

スイッチ1:気温の上昇 と 蜜源植物の開花

・気温上昇 と 蜜・花粉源植物の開花 を感知することで、(春の訪れと判断!?)

   活発な活動を開始。

※ 越冬明けの、気温や開花の状況によっては、分蜂時期が遅れる場合もある。

 

 

スイッチ2:蜂数・貯蜜量(オス蜂生産 の 開始スイッチ1)

・越冬明けの時点で、必要十分な蜂数・貯蜜があれば、直ちに、オス蜂生産を開始。

  ( オス蜂用の巣房を、新設&既存巣房の改造 をスタート )

   スイッチ4

 

・不十分であれば、働き蜂の生産と、貯蜜確保を優先する。

  ( 蜂数・貯蜜が一定(最低ライン)以上に達するまで、採餌と育児を続ける )

    スイッチ3

※ 越冬明けの、蜂数・貯蜜量の状況によって、分蜂時期が大幅に遅れる場合もある。

 

 

スイッチ3:営巣空間の減少(オス蜂生産 の 開始スイッチ2)

・蜂数・貯蜜が、必要十分に確保された時点で、オス蜂生産を開始。

・十分でなくても、巣内の営巣空間が、減って来た場合には、オス蜂生産を開始。

   ( ただし、生存可能な最低限の蜂数・貯蜜が確保されている必要がある。 )

 

 

スイッチ4:女王物質の減少(女王蜂生産 の 開始スイッチ)

・花粉、花蜜、産卵・育児(働き蜂・オス蜂)により、巣房が埋り始める。

・女王蜂の産卵場所が、少なくなってくる。

・産卵しなくなるため、女王蜂がミルクをあまり貰わなくなる。

・そして、女王物質の分泌が減り始める。

※ ここで、営巣空間を広げ、仕事を与えてやると、女王蜂が産卵可能となり、

    女王物質の分泌が復活、働き蜂は、その後の、王台作成を行わない。

 

・採餌蜂が、仕事にあぶれ出す。

・巣内の ミルクが過剰になる(育児蜂が仕事にあぶれる)。

・働き蜂の卵巣発達(余剰分のミルクを食べてしまう)。

 

・桜が満開になることで、急激に、花蜜が増え、巣房が完全に、埋め尽くされる。

・女王蜂の産卵も、完全にストップ。

・女王物質の分泌量が、激減。

・王台(王椀)を作り始め、女王蜂の生産を開始。

 

 

スイッチ5:オス蜂の存在(分蜂開始 の スイッチ1)

・オス蜂の誕生。

※ オス蜂の育児や、羽化が進行していなければ、分蜂は、行われない。

 

 

スイッチ6:新女王蜂の存在(分蜂開始 の スイッチ2)

・クーンパイピングの確認。

※ 新女王蜂が、生産されていなければ、分蜂は、行われない。

 

 

スイッチ7:天候(分蜂決行 の スイッチ)

・分 蜂

※ 晴れて、風の弱い日の午前中を選んで、いざ、出陣!!

※ ここまで来て、分蜂が行われない場合は、女王更新のみの可能性大。

 

・新女王蜂の誕生

 


以上、このような流れで、分蜂が起こるのではないか!? と、想像出来ます。

これを、数式風 にまとめてみると、

 

 


『 分蜂準備の            =    気温の上昇  +  蜜源植物の開花  +

             開始条件 』       (春の感知!?)(積算気温!?)

                                      蜂数・貯蜜の確保  +

                                      営巣空間の減少     +

                                      女王物質の減少

 

 

 

 

『 分蜂開始の条件 』  =     分蜂準備の開始条件           +

                                       オス蜂の存在                    +                                        新女王蜂の存在(羽化前)  +

                                       天候(晴天)

 

 

 

このような感じに、なるのでしょうか・・・。

 

以上、長々と、お付き合いを頂きまして、ありがとうございました。

これが、私の勝手な 妄想 になります。大変、お粗末さまでした。

 

 


《 最後に・・・ 》

 

さて、勝手なことを、だらだらと、書き殴ってきて、しまいましたが、

一つ言えることがあるとすれば、

 

分蜂に至るまでには、多くのスイッチが必要 で、

 

 

1つではない。

 

 

ということでしょうか。

そして、このスイッチのどれかが、入らない ことで、

 

 

分蜂が遅れたり、途中で、分蜂を取りやめたり、分蜂が行われなかったり。

 

 

といったことが、生じているのかもしれません。

当然、ここに書いたもの、以外にも、別のスイッチ があるでしょうし、

 

 

どのスイッチを、どう押せば、分蜂が起こるのか?  また、起こらないのか?

 

 

今のところ、ワバチたちに聞いてみないと、分からないようですね・・・。

 

 

 

は~い 拍手    教えて下さい、ワバチ先生!!

 

 


今回は、よく分かっていない、分蜂要因 について、長々と、書いてしまいましたが、

次回、分蜂本番の様子 については、後日、改めて書いていきたいと思います。







《 関連リンク 》

 ● 分 蜂(その1)

 ● 分 蜂(その2)

 ● 分 蜂(その3)


 ● エアコン

 ● フライト マッスル (飛翔筋)

 ● 女王物質(じょおうぶっしつ)!?

 ● 王台(おうだい)!? (その3)







プロフィール

やっこ

Author:やっこ
ニホンミツバチに関する様々なことを、
気ままに思いつくまま書いてます。
可愛く癒されるワバチの魅力を、たくさん発見したいと思っています。

アルバム
お知らせ!!
ブログに関する、お知らせをしています。

(現在、不定期に更新しています。)


・系図・作成ツール 公開!! → こちら


・採餌圏MAP 公開!!
 → こちら

Gallery
最新記事
ブログ内 検索
カテゴリ
月別アーカイブ
記事一覧

記事の一覧表示


管理画面 ( )
最新コメント
やっこ の オススメ書籍

ワバチに関する、おすすめの本です。

ぜひ、読んでみて下さい!!




ニホンミツバチが日本の農業を救う



ハチはなぜ大量死したのか