越 冬(その2)

ワバチは、寒さから逃れる ことで、冬を乗り切る、云わば、

 

「 低温逃避型の越冬 」

 

を行う昆虫ですが、

 

いったい、どのようにして、寒さから逃れているのでしょう?

 

その答えは、


「 暖 房 」


です。

 寒い所から 移動して逃げる、というやり方ではなく、住環境を、


能動的 暖かくする 


ことで、寒さから逃れ、冬を乗り切っているわけです。

 

他の全ての昆虫が、寒さに抗わず、冬眠などの 休眠状態 で冬を越すのに対して、

何と、ワバチは、巣の中で、集団全員 起きたまま、冬を越してしまうんです。

 

この一事だけをとってみても、

如何にワバチが 凄い昆虫 であるかが、分かると思います。

 

この事実は、ある意味、自然環境に 逆らって 生きている、ということでもあり、

人間と同種の 貪欲さ のようなものを感じてしまうのは、私だけでしょうか。

 

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【 起きたまま越冬するワバチ 】:全てのハチが、眠らずに冬を越します。

 

地域によって差はあるものの、だいたい12月~3月までの、3ヵ月以上 もの間、

今まで巣に貯め込んだ、ハチミツ花粉だけを頼りに、生き抜かなければなりません。

ワバチにとってこの越冬は、最も過酷で、最大の試練 とも云えるのでしょう。

 

 

ここで、越冬態勢に入るまでのワバチの様子を、少し見てみたいと思います。

 

・寒くなってくると、次第に採餌に出るハチの数が減っていきます。

   ワバチは、外気温が 5~6℃以上 あれば、低温下でも、外に出て

       採餌活動 を行うことは、可能です。

       ただ、次第に、蜜・花粉源花が 少なくなってくる この季節は、

       採餌の効率が、徐々に落ちてくることになります。

 

   外に出ても、食料調達 が出来なくなってくると、

   採餌に出る意味自体が 無くなってしまうため、徐々に外に出なくなってくるんです。

 

   寒さで、出られないのではなく、


    出ても、意味がなくなる 


   ために、出なくなるんですね。

   実際、同じ気温であっても、まだ比較的、蜜源花の多い場所 では、

   いつまでも、採餌活動は行われていたりするようです。

 

 

・本格的に寒い日が続き始めると、越冬態勢を取り始めます。

   初冬の、まだ 寒い日が続かないうち は、暖かな日であれば、

       普段より数は少ないものの、働き蜂は、採餌活動に出ていきます。

       この時点では、まだ越冬態勢には、入っていません

 

       本格的に寒波が到来し、寒い日が連続する ようになることで、

       ようやく、ワバチたちは、本格的な 越冬態勢 を取り始めるようです。

 

   私の観察では、低温 が数日(一定時間以上)続かないと、採餌を完全停止し、

   巣籠りする、といった、完全な越冬状態 にはならない ように感じています。

 

 

冬の到来は、外気温が低くなる ことで、認識していると思われますが、

他の昆虫類と同様、陽の出ている時間 短くなる ことなどが、

関係しているのかもしれませんね。

 

ただ、認識 することで、働き蜂の行動に、変化が起こる様子は見受けられません。

ヨウバチの場合は、女王蜂の産卵数が徐々に減っていくようですので、

ワバチも同様だとすれば、働き蜂が、産卵を抑制させている可能性はあります。

 

また、もしかしたら、長期貯蔵用の蜂パン(花粉)の量を増やすなど、

本格的な越冬に向けた行動を、何かしら始めているのかもしれませんね。

 

単なる仮説ですが、越冬態勢への移行は、


冬の到来の感知 低温時間の積算 、そして、蜜源花の減少 


によって 喚起・触発 されるのではないかとも、考えています。



ワバチは、体が寒さに 適応出来ない 昆虫です。

 

例えば、スズメバチ・アシナガバチなど、冬眠する昆虫 の場合は、

外気温が下がり、それに伴う体温の低下 があっても、体内を 生理的に変化 させ、

耐寒性の体 になることで、寒さに適応し、生命を維持することが出来ます。

 

これに対し、残念ながら、ワバチはそれが 出来ません

 

実は、体温が 約30℃を下回る と、ワバチは死んでしまうんです。

 

変温動物 であるワバチは、外気温が下がれば、比例して 体温も下がってしまいます。

つまり、何もしないでいると、体温が 外気温と同じ になってしまうんですね。

 

住処である 閉鎖空間 は、一見、外気の影響を 受け難い !?


とも感じるのですが、

外気温が下がれば、緩やかではあっても、確実に 巣内の温度は下がることになります。

(ちなみに、空の巣箱であれば、すぐに外気と同じ気温にまで下がります。)

 

このまま何もしなければ、当然、凍死 してしまうことになりますよね。

そこで、巣内を 暖房 することで、


体温を維持 し、凍死 を 免れよう


とするわけです。

この方法は、飛ぶために使う、胸部の 飛翔筋こちらを参照)という筋肉を震わせ、


 体温を上昇 させることで、熱を発生させる 


というやり方で、行われています。

これは、普段、育児 のための 温度調節 にも使用される方法なんです。

こちらを参照)


発熱0



さて、この暖房には、燃料源 として、何といっても、


大量の ハチミツ 


が、必要になります。

ハチミツ中の糖分を使わなければ、筋肉飛翔筋)を動かすことが出来ないわけです。

 

一方、越冬中、自分たちの命をつなぐ 食料 としても、ハチミツは欠かせません。

 

花蜜や花粉の補給ができない状態が、3ヵ月以上 も続くわけですから、

越冬中に、貯蜜が切れることは、


食料 と、暖房のための 燃料 が、同時 に 尽きる 


ことを意味します。 つまり、貯蜜切れ は、直ちに、


コロニー全体の 餓死凍死 に繋がる。


ということになるんです。

 

普段、ワバチたちが絶え間なく、花蜜を採取し、ハチミツに加工して、

大量に貯め込んでいる のは、この越冬中の、


貯蜜切れを防ぐため 


でもあるんですね。ちなみに、


「 越冬前の採蜜は、行うべきではない。」 


と言われるのは、

命綱 となる 越冬用の貯蜜 を、奪ってしまう行為 になるからなんです。

 

越冬に際しては、なるべく 多くの貯蜜 を持つことは 不可欠 なんですね。


また、有限である以上、越冬に入ってからの 無駄遣い も、

極力、避けなければなりません。


実は、ハチミツの消費を抑えるための 凄業 を、ワバチたちは使っていたんです。

 

 

いったい、これは、どんな 凄業 なのでしょう?

 

このことについては、次回書いてみたいと思います。








《 関連リンク 》

 ● 越 冬(その1)

 ● 越 冬(その3)

 ● 越 冬(その4)

 ● 越 冬(その5)

 ● 越 冬(その6)


 ● フライト マッスル (飛翔筋)

 ● 発熱







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Author:やっこ
ニホンミツバチに関する様々なことを、
気ままに思いつくまま書いてます。
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