「 ミツバチの巣は、六角形で出来ている。」

 

 

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これはあまりにも、有名ですが、

 

実は、初めから 六角形 を作っているわけではない。

 

という説があるのを、ご存知でしょうか。

 

えっ!?

 

いったいこれは、どういうことなんでしょう?

 

 

ワバチの巣板作りを、少し見ていきたいと思います。

 

・腹部の ろう腺 から、蜂ろう を分泌し、巣材としています。

    → 巣板の材料となるのは、蜂ろう です。(詳しくは、こちらを参照)

        ハチミツの糖分を利用して作り出される、この蜂ろうは、

        融点が 65℃(65℃で溶け出すということ) と低いので、

        40℃を超えると 柔らかく加工し易く なる、粘土のような素材なんです。

 

        この蜂ろうを、大顎(オオアゴ)で 加温噛み砕き ながら柔らかくし、

        使い易い 粘土状 にして、巣板作りを行っていきます。

 

 

・巣板は、短期間に、一気に作られていきます。

    → 巣板作りには、大量 の蜂ろうが必要です。このため多くの働き蜂が必要で、

        皆で協力して、一斉に、そして 一気 に作り上げられていくんです。

        またこれには、柔らかくした蜂ろうが、冷えて固まらないうちに、

        作り上げなければならない、という 事情 もあるのでしょう。

 

        もっとも、早くしないと、新たな巣に引っ越してきたような場合、

        食料が尽き 死んで しまいますよね。

 

        ワバチは、蜂数が多いほど 生存に有利、と云われるのは、

        こんな所からも、理解 することが出来ます。

 

 

・新しく作る巣板は、天井(上部)から下へと作られていきます。

    → ワバチは、肢にある重力を感知する、体毛(感覚毛)によって、

        真下 を認識できるようで、真っ暗闇の巣内でも、真っ直ぐ下 に向って、

        巣を作ることが出来るんです。

 

        NASAによる、スペースシャトル内での、ミツバチ実験(1984年)では、

        微重力空間 でも、六角形の巣房は 出来上がった そうです。

        ただ、巣板の 方向 は、めちゃくちゃ になったようです。

 

        これは、地上ではちゃんと 重力を感知 していることの証でもありますね。

 

 

・巣板作りは、基礎工事から始められます。

    → 初めは基礎用の 下塗り として、天井部へ塊にした蜂ろうを、塗り付けます。

        開始位置 は、最初は適当のようですが、一度決まると、そこを 起点 に、

        下へ下へ と蜂ろうを、塗り足していくことになります。

 

 

・巣房の底板 → 巣房 の順で作られていきます。

    → まず、両側巣房の共通の底に当たる、底板 を下に伸ばしてから、

        次に、両側に、壁を盛り上げていく形で、巣房 を作り上げていきます。

 

        これを 規則正しく繰り返しながら、下へ下へと巣板を伸ばしていくわけです。

        また、巣房は、ヨウバチほどではないものの、底へ向かって、若干傾いています。

 

 

 

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        ただ、よくよく見ると、

        巣板の下部分では、逆に、底から入口へ向かって下に傾斜しています。

        なぜ場所によって、傾斜方向が違ってくるのか? 興味深いところです。

 

 

・複数個所から、同時並行の作業で行われていきます。

    → 巣板作りの凄い所は、1ヶ所から作っていくのではなく、

        何と、複数個所から同時 に、作り始めることが出来るという点です。

        つまり、非常に効率良く 作り進めることが出来るわけですね。

 

 

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        別々の場所から、作っていくにも関わらず、最終的 には、

        正確な大きさで、キレイに巣房が並ぶ、一枚の巣板が出来上がってしまうんです。

 

    巣板がある程度出来てくると、ワバチたちは、「 カーテン 」を形成します。

 

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       【 巣作り時のカーテン 】:ハチたちが連なってカーテンを作っていきます。

         (写真はヨウバチ)

 

        これが何を意味するのかは、詳しく分かっていないようですが、

        この状態でしばらく動かずに、じっとしているようです。

 

        恐らく、完成形の巣板の、型紙 のような役割を果たすのではないかと、

        個人的には思っています。

 

 

真っ暗闇の中別々の場所 から作って行くにも関わらず、正確に 巣板を完成させる。

 

まさに、神業です!!!

 

・複数個所から同時に作業を始め、

・底板を下に伸ばし、

・両側に同じ大きさの巣房を作っていく。

 

この 繰り返しの作業 によって、ワバチは、巣板を作り上げていくわけですが、

ある説によると、初めに作る巣房 というのは、

 

 

六角形六角筒)ではなく、円形円筒)であるようなんです。

 

 

え、え~っ!!

 

でも、その証拠に、作られた巣板をよく見ると、円形の巣房 が見られることがあります。

 

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【 円形の巣房 】:明らかに円筒形であることが分かります。

 

ワバチの巣房が、六角形であることは間違いないので、これは、上の写真のように、

初めは円形に作られた巣房が、六角形に変化 していると考えるのが妥当のようです。

 

でも、円形が六角形になど、変化するのでしょうか?

 

実は、これには、

蜂ろう という 巣材の性質 と、ワバチの 加温 が関わっているようなんです。

 

人工的に、小さな 円筒形の蜜ろう を作り、

それを密着させて、敷き詰めたあと、ゆっくり 加温 していくと、それだけで、

何と、六角筒 になってしまうようなんです。

 

え~っ!!!

 

なぜ、こんなことが起こるのでしょう?

 

それは、巣房内で 張力 が働くからなんです。

シャボン玉 でそれを見ると、よく分かります。

 

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【 シャボン玉の六角形 】:中央の玉が、六角形になっているのが分かります。

 

これは、1つのシャボン玉の周りに、ほぼ同じ大きさの玉を、6つ 作ってみたものです。

中央の玉が、六角形 になっているのが、お分かり頂けるでしょうか。

 

これは、それぞれの玉が接着点で、薄い壁 を挟んで、互いに引き合う ことにより、

結果、接着点が、 になり、キレイな六角形 が出来上がったわけです。

 

ただこれを実現させるには、

素材がシャボン玉のように、薄く柔軟で伸びる ことが不可欠です。

 

この点、蜂ろうは、加温によって 柔らかくなり、また、薄く延ばすことも可能 で、

最適な素材 と云えます。

 

また、キレイな六角形が出来るには、正確に同じ大きさの円形 を作る必要があります。

ワバチは、何とこれを やってのけている のですから、全く驚きです

 

 

  蜂ろうを円筒形に敷き詰め、加温すると、自動的に、六角筒になる。

 

 

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ワバチは、ただ、加温するだけ というわけです。

 

加温は、普段は飛ぶために使う、飛翔筋 と呼ばれる筋肉を震わすことで行われます。

巣内温度を調節するために行う、発熱 と同じやり方でこちらを参照)、

巣房を、蜂ろうが変形する、40℃以上 に温めているようです。

 

どうやら 円形巣房 は、

蜂数が少なかったなどの理由で、十分な加温がなされなかったため、

六角形にならなかったなれなかった)、イレギュラーと云えるようですね。

 

この説が本当なら、六角形の成形は、

ワバチが関わっているものの、ほとんど 自然の物理法則 によって起こることなので、

これを、ワバチが作っている、と言えるのかどうかは 微妙 なところです・・・。

 

少し残念な気がするのは、私だけでしょうか?

 

ただ、薄く正確な円形 の巣房を作り上げられる能力は、驚異的で、

同時に、六角形を可能にする素材、蜂ろう を自ら作り出せるわけですから、

やはり、とんでもなく凄い ことに変わりはありません。

 

どっちにしても、やっぱりワバチは、凄いんですね!!

 

 

 

六角形について、

あくまでも、ミツバチは最初から六角形を作っている。

という説も、実は、まだ支持されているようです。

 

また、巣作りの際に、40℃以上体温を上げることは確認出来なかった

という、ヨウバチでの実験結果も出ています。

 

真実は、違う所にあるのかもしれませんね。

新しいことが分かりましたら、またここに書かせて頂こうと思っています。





《 関連リンク 》

 ● ワバチの巣(巣板)

 ● ハニカム構造


 ● ハチロウ

 ● 発熱

 ● フライト マッスル (飛翔筋)







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